1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08780076
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
高田 俊也 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助手 (30226790)
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Keywords | 体育授業 / 凝集性 / 構成要素 / 相互関連性 |
Research Abstract |
本研究では、体育の授業における凝集性を仲間関係と捉え、個々人の集まりが一つの方向性を持っていることを示す「目的」、ある目的をもった個々人のつながりを示す「凝集」とその関係に存在するさまざまな特性を持った個々人を構成成員とし、その3つの要素によって凝集性を捉えることができるか検討し、方法論構築に示唆を与える知見を得ようとするものである。 兵庫県下のR小学校における3クラスのバスケットボールの授業を対象に検討を加えた。 先行的な体育授業研究法および授業研究の行動分析の成果より、構成成員の個人特性は、質問紙法により、把握した。凝集は、正方向のソシオメトリー、VTRから主観的なつながりのあるものを把握した。目的は、VTRからの授業の場面および状況などを把握した。 以上の方法を踏まえ、解釈学的に諸要素間の相互関連性に検討を加えた。 その結果、構成成員と凝集との関連性について、個人特性をタイプ分けし、ソシオメトリーから見られるつながりの状態から、関係を捉えた。つながりの状態の相互選択しているつながりと個人特性のタイプから、「同質指向性」「補完欲求」「優越感と従属感」のつながりがあることが見いだされ、構成成員の凝集の関連について捉えることができた。凝集と目的の関連性については、授業でのグループを凝集として捉え、相対的に好意的な者が目的を指向していると考え、グループ内の凝集があるものが、目的志向が高いと捉えられた。目的と構成成員の関連性は、目的のある構成成員の個人特性から見てみると、運動意欲や、運動の有能感の高いもの、また運動技能の高いものが目的志向が高いとして捉えられた。 以上の結果から、集団の凝集性は、構成成員、凝集、目的の3要素に関連があると考えられ、構築した仮説には間違いはなかったといえるだろう。今後、この理論仮説の信頼度を測り、実践に適用し具体的妥当性を検討していきたいと考える。
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