1996 Fiscal Year Annual Research Report
実験室スケールでの雲の生成とそのキャラクタリゼーション
Project/Area Number |
08780491
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山形 定 北海道大学, 工学部, 助手 (80220242)
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Keywords | 雲粒 / 土壌 / 雲チャンバー |
Research Abstract |
内径360mm,高さ1000mmのアクリルパイプを内管とする二重管構造をもつ室内雲チャンバーを作成した。チャンバー内は循環冷却水によって5〜15°Cに冷却され、内部に湿潤空気とエアロゾルが供給される。チャンバー内温度を5°Cにした時、90°Cの水蒸気飽和空気とエアロゾルを含む実験室内空気を導入するとチャンバー内に微水滴が生成することをレーザー光の散乱で確認した。 大気中の存在する土壌粒子が雲粒内に取り込まれるかどうかを検討するために、関東ローム試験用ダストの微粒子を流動床粒子発生装置で発生させ、雲チャンバー内に湿潤空気とともに導入した。関東ローム試験用ダストの場合は、ダストをチャンバー内に数十分滞留させた後に湿潤空気を導入すると微水滴が形成されることがわかった。雲粒サンプリング用に作成したインパクターを用い、この微水滴をウォーターブルー色素を塗布したフィルム上に捕集し顕微鏡観察したところ、微水滴内に土壌粒子が存在していることが確認された。 この事実は、試験管内で土壌粒子が亜硫酸イオンの光酸化速度を促進するという知見とあわせて考えると、極めて重要な意味を持つ。すなわち、大気中の雲粒は亜硫酸イオンの酸化など、さまざまな反応の場となっていることがフィールド観測や計算機シミュレーションなどから指摘されているが、本研究結果はそのプロセスに土壌粒子が関わっていることを示唆している。このことは、土壌粒子が雲粒内で種々の反応を引き起こし、大気中の化学組成に影響を与えるばかりでなく、水溶液反応で土壌粒子からさまざまな鉱物成分が溶出し、その成分が海洋の生態系へ影響を与える可能性も含んでいる。今後、大気中の雲粒内の土壌粒子分布を明らかにする必要がある。
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