1996 Fiscal Year Annual Research Report
環境大気中の炭素安定同位体比の高頻度、高精度測定のための導入系の開発
Project/Area Number |
08780504
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
田中 敦 国立環境研究所, 化学環境部, 研究員 (80171734)
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Keywords | 安定同位体比 / 元素分析計 / 二酸化炭素 |
Research Abstract |
元素分析計のキャリア流路に,気体試料の導入部を組み込み,定量ループなどから気体試料を導入できるように改良した.この装置を用いて,元素分析計と質量分析計とを接続した際に分析精度を支配している要因として,室温,元素分析計内のフラクショネーション,質量分析計の圧力効果などの点について検討した.最も単純な導入系である,GCカラムなしで元素分析計から直接,質量分析計へスプリット導入した場合,50回の連続分析で,標準偏差0.2‰以内の分析値が得られた.ベローズからレファレンスガスを導入して測定した場合,レファレンスの同位体比変動が0.06‰に対し,元素分析計からの同位体比変動は0.09‰までさせることができた.元素分析計からのガス試料の導入能力自体は,安定同位体用の質量分析計に匹敵することがわかった.ただし,スプリット比が時間変化するためのサンプルビーム強度のドリフトと空調機のスイッチングが原因である13分程度の周期的な比の変動がレファレンス,サンプルともに認められた.質量分析計イオン源内の圧力効果を検討したところ,キャリア流量がバックグラウンド値に影響し,同位体比の変化は流量に依存して変化しており,通常行われるビーム強度で同位体比を補正する方法は有効でないことがわかった.コールドトラップを利用した場合,フロー系とバッチ系で系統的な同位体比の変動が認められ,30分程度の測定時間に比して同位体比の精度が向上しなかった.結論として,元素分析計をガス試料の導入系とした場合,元素分析計の燃焼系が比の値に,設置環境が比の精度に影響しており,精度を向上させるには,高度な空調とスプリット導入系の改良が必要であった.
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