1996 Fiscal Year Annual Research Report
沿道における大気浮遊粉じんの培養細胞における毒性評価
Project/Area Number |
08780513
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
山口 孝子 神戸学院大学, 薬学部, 実験助手 (60194205)
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Keywords | 大気浮遊粉じん / 培養細胞系 / 細胞毒性 / 毒性評価 |
Research Abstract |
近年呼吸器系の疾患が増加傾向を示しており、排ガス由来の浮遊粉じんとの関連が指摘されている。また、大気中には数多くの有害物質が混在し、複雑な相互作用をしていると考えられる。そのため汚染物質全体としての毒性を検討することが、健康影響を評価する上でより現実的なデータを得ることができると考え、沿道で補集した大気浮遊粉じん抽出物について培養細胞系(ヒト及びチャイニーズハムスター肺由来株細胞)を用い、その毒性評価を行った。 補集した大気浮遊粉じんは粗抽出物とその酸性、塩基性及び中性分画に抽出、分画を行い、これらについてMTS法を用いた細胞障害性アッセイを行うとともに細胞増殖に及ぼす影響を検討した。 MTSアッセイでは、両細胞系に対して粗抽出物が最も強い細胞毒性作用を示し、そのIC50はCHL/IUとWI-38でそれぞれ大気相当量で表すと1.18m^3及び1.01m^3であった。また粗抽出物よりは弱いながらも酸性、塩基性及び中性の有極性分画にも細胞毒性作用が認められた。 増殖カーブに及ぼす影響についても、両細胞系において粗抽出物に最も強い増殖抑制作用が認められた。またCHL/IUでは培養48時間以降はゆるやかな増殖も認められ、培養120時間後において酸性及び塩基性分画では対照の約55%まで増殖が認められた。一方、WI-38では粗抽出物、各分画共に強い増殖抑制を示し、168時間後も殆ど増殖が認められなかった。今回用いた株細胞間では、ヒト肺由来WI-38が両アッセイにおいて沿道大気浮遊粉じんの毒性に対する感受性が高い傾向にあった。
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