1996 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチド核酸の分子認識能を用いた不斉転写に関する研究
Project/Area Number |
08780549
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
松下 正行 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (10279119)
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Keywords | PNA / ペプチド核酸 / 固相合成 / 核酸 / アデニン / チミン / 分子認識 / 遺伝子 |
Research Abstract |
1991年Nielsenらによって初めて合成されたPNAは、側鎖として核酸塩基を有するアミノエチルグリシンが縮合した全く新しい型の化合物である。このPNAは相補的な塩基配列を持つDNAやRNAの配列を認識し特異的に結合することが明らかにされており、生体高分子の分子認識能研究のツールや遺伝子レベルでの治療薬開発の可能性を秘めた化合物として注目を集めている。今回申請者は、PNAを用いた不斉反応場構築の基礎研究として、アデニンとチミンを塩基として有するビルディングブロックの合成とこれらの固相合成の条件を検討した。 従来PNAの固相合成は、ペプチド合成の手法を応用し、最終的な固相樹脂よりの切り出しを強酸を用いて行う手法が一般的であったが、この方法では収率に関して問題があった。筆者は固相樹脂よりの切り出しを温和なアンモニア水溶液で行うWillらの手法を踏襲しつつ改良を加え、ビルディングブロックの大量合成法の確立を行なった。 PNAの骨格となる2-アミノエチルグリシンはエチレンジアミンとグリオキシル酸より合成した。このもののC末端をメチルエステルとして、1級アミノ基をメトキシトリチル基で保護した。次いでp-メトキシベンゾイルアデニル酢酸を2級アミノに縮合した後pHをコントロールしながらメチルエステルを加水分解し塩基としてアデニンを有するビルディングブロックの合成を行った。また、同様にチミニル酢酸を2級アミノに縮合しチミン単位の合成を行った。 今後これらビルディングブロックを用いたPNAの固相合成法の確立とキラルなキラルなPNA合成への応用を検討する予定である。
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