1996 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋のカルシウム活性化とアクチン-ミオシン結合による活性化とはどこまで独立か?
Project/Area Number |
08780792
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
竹森 重 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20179675)
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Keywords | 骨格筋 / スキンドファイバー / X線回折 / クロスブリッジ / リン酸アナログ |
Research Abstract |
通常のCa^<2+>活性化とCa^<2+>なしでのアクチン-ミオシン結合による活性化とがスキンドファイバーの伸展によって同じように促進されることから、両活性過程は独立でないという仮説をたてた。この仮説を検証するために、アクチン-ミオシン結合が最大に活性化されたスキンドファイバーにCa^<2+>を作用させたときのファイバーの分子形態変化を筋節長を変えてX線回折法で調べることにした。 単離したウサギ腸腰筋筋線維を0.2%triton X-100を含む弛緩液で化学的にスキンドして標本とした。ラット腸腰筋も試みたが、本研究に十分なX線回折像が得られなかった。 まず、アクチン-ミオシン結合により最大活性化を得る条件を張力測定実験で調べた。硬直結合の他に、MgATPに対してMgADPが過剰にあるときに主となるアクチン-ミオシン-MgADP複合体を検討した。筋線維の活性化程度を評価するためには、リン酸アナログであるフッ化アルミニウムまたはバナジン酸を収縮中サイクルにあるミオシンに取り込ませて安定な複合体を作り、これがアクチンの存在下に活性化によって解離していくことを利用した。この結果は通説に反して、硬直クロスブリッジやMgADP結合クロスブリッジだけでは筋線維を収縮中並みに活性化することは困難で、収縮性クロスブリッジの活性化効率がはるかに高いことを示唆した。そこで低イオン強度で形成されるクロスブリッジによる活性化を利用することを検討した。低イオン強度では筋線維の構成タンパクが抽出される可能性があるため、今後各クロスブリッジの活性化効率の定量的評価の研究と、構成タンパク抽出による微細形態変化の研究を優先することとした。
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