1997 Fiscal Year Annual Research Report
海産甲殻類における硬組織形成と石灰化の分子生物学的研究
Project/Area Number |
08833004
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 俊樹 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (00272526)
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Keywords | 石灰化 / 甲殻類 / クルマエビ / 外骨格 / 脱皮 / カルシウム / キチン / キチナーゼ |
Research Abstract |
本研究は,海産甲殻類のクルマエビを用いて,外骨格を構成するタンパク質および外骨格形成を調節するタンパク質をコードする遺伝子を数多く単離し,その中から石灰化に関与するタンパク質をコードする遺伝子を見つけ,解析することを目的として行われた. 今年度は先ず,昨年度に引き続き,石灰化の起こる時期(脱皮後期)に特異的に発現される遺伝子の検索を行った. 脱皮段階により分けられたエビの尾扇および葉片(主に外骨格と表皮からなる部分)を用いて,ディファレンシャル・ディスプレイ法およびノザン解析により,脱皮後期に特異的に発現されるmRNAを6種同定し,そのうちの4種に対してcDNAクローンの単離をおこなった. さらに,これらmRNAのコードするタンパク質の構造と機能を推定するため,3種のcDNAクローン(DD-1,4,9と名付けた)のヌクレオチド配列の解析をおこなった. DD-1は,配列から機能の推定はできなかったが,アスパラギンに富んだアルカリ性のタンパク質をコードしていた. DD-9のコードするタンパク質は,昆虫の外骨格中に見つかる一群のタンパク質と類似した配列をもっていた. DD-4は、プロリンを多く含む酸性のタンパク質をコードしており,calphotinというカルシウム結合タンパク質との間に配列の相同性が見られた. このことから,DD-4のコードするタンパク質もカルシウム結合タンパク質である可能性があり,石灰化においてどのような役割(カルシウムイオンの輸送,貯蔵,または結晶形成の促進,阻害など)を果たしてしるのか,今後詳しく調べて見たい.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Watanabe & Kono: "Isolation of a cDNA encoding a chitinase family protein from cuticular tissues of the kuruma prawn Penaeus japonicus" Zool.Sci.14. 65-68 (1997)
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[Publications] Watanabe: "Isolation of a cDNA encoding a homologue of ribosomal protein L26 in the decapod crustacean Penaeus japonicus" Mol.Mar.Biol.Biotechnol.発表予定.
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[Publications] 渡邉.河野.会田.長澤: "クルマエビのキチナーゼの分子生物学的解析" キチン.キトサン研究. 3(2). 176-177 (1997)