1997 Fiscal Year Annual Research Report
健常児と言語発達遅滞児における会話技能の発達と指導方法の開発に関する研究
Project/Area Number |
08837006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長崎 勤 筑波大学, 心身障害学系, 助教授 (80172518)
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Keywords | ダウン症 / 選択質問 / 工作場面 / 欲求意図 / 幼児 |
Research Abstract |
<言語発達遅滞児に対する会話技能の指導> ディスコースユニットモデルを基に場面を設定し、言語発達遅滞児の会話技能の指導を実施中した。対象児は7歳(MA4歳2ヶ月)のダウン症女児。指導は工作場面で子どもが大人に材料の選択質問をする。手続きは、対象児が簡単に製作できるおもちゃを自分および補助指導者と母親に作るという工作場面を設定し、「赤と青のどっちがいい?」といった「相手の欲求意図を尋ねる行為」を指導した。1セッションで2種類の材料の種類(紙とクリップなど)、2人のおもちゃを作ってあげる対象者(母親、補助指導者)、2通りの材料の組み合わせの仕方(赤/青、黄色/緑など)による計8試行の「尋ねる行為」が行われた。段階的な援助を与え、聞き手の意図を想定した発話行為の遂行を促した。その結果、S2-S4では、促しや「聞いてごらん」などの言語指示があれば尋ねる様子が80%程度を占めた。S5以降、自発的に尋ねる行為の割合が増加し、S12以降は100%を示した。ボーリング場面によるプローブ(S20)では、80%以上の割合で自発的に相手に尋ねることができた。尋ね方は、S2では「これでいい?」「これにする?」といった同意を求める尋ね方のみであったが、S3-S5では「どっち」「どれ」などの「相手の欲求意図を尋ねる」尋ね方と同意を求める尋ね方が入り交じってみられた。S6以降意図「どっち」「〜と〜のどっちがいい?」という「相手の欲求意図を尋ねる」仕方になった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 長崎 勤: "「他者の欲求意図を知る」ことは教えられるか?" 日本発達心理学会第9回大会発表論文集. 345- (1998)
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[Publications] 長崎 勤: "ダウン症児の他者意図の理解-そのlearnabilityとteachability-" 文部省科学研究補助金重点領域研究「心の発達;認知的成長の機構」ニュースレター. 2. 8-16 (1997)
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[Publications] 長崎 勤: "スクリプトによるコミュニケーション指導" 川島書店, 200 (1998)