1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08837020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Section | 時限 |
Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
小嶋 恵子 東京女子大学, 文理学部, 教授 (00050782)
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Keywords | 談話理解 / 読解 / 推論 / 解釈の構成 / 解釈の共同構成 |
Research Abstract |
談話理解における解釈の構成と変更を、推理小説の読解の場合について検討する。推理小説は、テキストを読み進むにつれて与えられる多くの手がかりとの整合性の基づいて、犯人や動機について最初に構成した仮説を破棄したり、初期の解釈を変更せねばならぬように書かれていることが多いから、解釈の構成・変更を調べるのに好適の材料である。大学生を被験者とし、金田一少年の事件簿からとった話を読ませ、途中4カ所で読むのを止め、その時点での解釈を答えさせた。実験1では、20名の大学生が個別に実験に参加した。実験所要時間は1人1時間前後。その結果、1)読み手の構成する解釈は多様である、2)一度構成された解釈は、後続の情報と不整合であっても容易にかつ適切に変更されるとは限らない、3)解釈の構成には推理小説のジャンルについての知識が利用されている;この知識の利用は正しい解決に導くとは限らない;深読みし過ぎを招くこともある、ことが示された。実験2では、2人ずつ7組について、各自で読んだ後、2人の共同見解を答えさせ、解釈の構成・変更における相手の解釈からの影響を調べた。実験所要時間は1組につき2時間-2時間30分。その結果、1)整合性のある解釈がまだ構成されていない時には、他人の意見から影響されるが、整合性のある解釈を構成してしまうと他人の意見からは影響されにくい、2)整合性のある解釈が第1部から構成されている人は稀で、多くは第3,4部で次第に構成される;ただし、第4部になっても解釈の定まらない場合もある、ことが示された。
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Research Products
(2 results)