1996 Fiscal Year Annual Research Report
科学論文と口頭発表の対比による文章英語と口頭英語のディスコース構成の研究
Project/Area Number |
08837022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Section | 時限 |
Research Institution | Tezukayama College |
Principal Investigator |
梅咲 敦子 帝塚山短期大学, 文芸学科, 助教授 (20269963)
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Keywords | ディスコース分析 / ディスコース / 文章英語 / 口頭英語 / ESP / テキスト言語学 / 科学論文 / 口頭発表 |
Research Abstract |
本研究は、同じ言語使用者が同じ内容を書いて伝える場合と話して伝える場合でどのように英語のテキスト構成が異なり、またなぜ異なるのかを解明することを目的としている。分析資料は英語母語話者による自然科学分野の口頭発表と論文である。口頭発表と論文は同一科学者による同一タイトルのものである。録音、文字化を手作業で行うため資料収集に時間を要する。本年度は現在までに収集した4対(計約22,000語)についてディスコース構成を調べた。主題構成については、頻度調査結果をもとにディスコース形成モデルを提示した(23rd International Systemic Functional Congress, at University of Technology, Sydney on July 15)。その提示モデルをさらに検討するために、テキスト全体の話題の推移面から論文と口頭発表のディスコース構成を比較した。科学論文のディスコースの推移としてはTrimble(1985)の枠組み、論文の導入部(Introduction)についての話題の推移としてはSwales(1981)のモデル、英語の論理展開(Pincas 1982)を組み合わせて5つの機能区分(components : Abstract, Introduction, Development, Conclusion, Additional remarks)を設け、各機能区分(components)ごとにさらに下位機能区分(sub-components)を設けて、論文と口頭発表の対比表を作成した。全体としては、論文のほうが口頭発表よりも多くの種類の区分が見られた。口頭発表では、同じ区分の繰り返しや相互作用機能を持つ区分が見られた。さらに、同じ機能を果たす区分内の例文を対比した結果、口頭発表のほうが言い直し・繰り返しが多いために同じ語数あたりの情報量が少ないことがわかった。さまざまな分析結果を総合するとテキスト全体から語彙・文法レベルに至る特徴が密接に関連していると言える。本年を含めて3年計画で、分析資料の量を増やしながら、これらの特徴全体を説明できるディスコース形成モデルとディスコースストラテジーを提示したい。
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