1996 Fiscal Year Annual Research Report
コリン作動性ニューロン特異的ガングリオシドchal-lαの加齢変化
Project/Area Number |
08838029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Section | 時限 |
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
脇 初枝 (財)東京都老人総合研究所, 生体膜部門, 主任研究員 (60104585)
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Keywords | ガングリオシド / コリン作動性ニューロン / シナプス膜 / 加齢 |
Research Abstract |
ガングリオシドは糖鎖部分にシアル酸を有する酸性スフィンゴ糖脂質で、神経細胞の突起進展や海馬の長期増強の促進など脳機能への関与が示唆されている。最近、コリン作動性ニューロンに特異的なガングリオシドChol-lαの化学構造と脳内分布が明らかになり、脳シナプス機能との関わりが推定される結果も得られつつある。本研究では、脳シナプスにおけるChol-lα発現量の加齢変化を明確にし、コリン作動性ニューロンの機能退行との関係を明らかにすることを目的とした。 本年度は、脳シナプス膜の総ガングリオシド量、Chol-lα発現量の加齢変化を明らかにした。6か月齢から30か月齢のマウス大脳皮質よりシナプトソームを調製し、さらにシナプトソームよりシナプス膜を調製した。シナプス膜ガングリオシドは新規に開発したフェニルセファロースカラムクロマトグラフィー法で調製した。総ガングリオシド量はガスクロマトグラフィー-質量分析法で測定した。Chol-lα発現量は抗Chol-lαモノクローナル抗体GGR41を用いたTLC-免疫染色法で定量した。シナプス量の総ガングリオシド量はシアル酸として27〜35μg/mg proteinであり、成熟脳から老齢脳まで一定のレベルに維持されていることがわかった。主要ガングリオシド(GMl,GDla,GDlb,GTlb,GQlb)の組成もほぼ一定であった。Chol-lαはシナプス膜ガングリオシドの0.02%と微量成分であり、シナプス単位の発現レベルは老齢に至るまで一定に維持されていた。Chol-lαはコリン作動性ニューロンのマーカーとなる可能性が示唆された。今後は、Chol-lα量を測定することにより脳各部位のシナプス密度の加齢変化を検討するとともに、Chol-lαの神経伝達機構(高親和性コリン取り込み、コリン合成、アセチルコリン放出)との関わりを明らかにしたい。
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