1997 Fiscal Year Annual Research Report
脳シナプスにおけるカルシウムチャネルサブタイプの分布と機能の加齢変化
Project/Area Number |
08838030
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
田中 康一 (財)東京都老人総合研究所, 分子老化学研究系・生体膜部門, 主任研究員 (40101258)
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Keywords | カルシウムチャネル / 老化 / シナプス / アセチルコリン |
Research Abstract |
大脳皮質シナプスにおけるアセチルコリン合成活性やそのレベルには加齢変化はないものの、脱分極刺激によるアセチルコリン放出が老齢シナプスにおいて低下することが種の違いを超えて認められた。この老齢シナプスにおけるアセチルコリン放出低下は、放出のトリガーとなるカルシウムイオン流入低下によることがカルシウムイオン蛍光指示薬を用いた実験で明らかとなったため,シナプスにおける電位依存性カルシウムチャネル(VDCC)の加齢変化を調べることを目的とした。大脳皮質シナプス膜のVDCCサブタイプの分布を各サブタイプに特異的なブロッカーを用いて調べたところ、L型チャネルが27%,N型チャネルが32%,P型チャネルが27%,Q型チャネルが23%であった。個体の老化によってP型チャネルの分布は全VDCCの16%となり,成熟期のラットに比べて著しく減少していた。さらに,シナプス膜への放射標識ブロッカーの結合実験によって,VDCC密度の加齢変化を検討した。その結果,25ヶ月齢では、L型,N型,Q型チャネルのBmax値,すなわち最大結合サイト数が6ヶ月齢に比べそれぞれ50%,35%,52%と顕著に減少していた。このVDCC密度の減少が、カルシウムイオン流入低下の直接の要因となっていることが推察された。また,L型チャネルブロッカー結合に対するKd値が老齢シナプスで成熟動物シナプスに比べて大きな値を示すことが認められた。この結果は、L型チャネルのブロッカーを結合するサブユニット(おそらく、α1サブユニット)の加齢による構造変化を反映している可能性を示唆していると思われる。以上,本研究の結果から、大脳皮質コリン作動性シナプスにおけるアセチルコリン放出低下とそれに伴うシナプス可塑性の加齢低下の根底には、電位依存性カルシウムチャネルの分布や密度の異常が関与していることが強く示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 田中康一: "脳シナプスにおけるアセチルコリン放出とカルシウムイオン流入の加齢に伴う異常" 神経化学. 35・3. 328-329 (1996)
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[Publications] Tanaka,Y.: "Age-recated impairnent of acetylcholax release and calciumca inflax on mouse corhial presynapses." Neurochem.Res.22・. 862-863 (1997)
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[Publications] 田中康一: "シナプスにおけるカルシウムチャネルと老化" 基礎老化研究. 20・2. 21 (1997)
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[Publications] 田中康一: "大脳皮質シナプスの電位依存性カルシウムチャネルとその加齢変化" 神経化学. 36・3. 171 (1997)
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[Publications] Tanaka Y.: "Gangliosides enhance KCl-induced Ca^<2+> inflax and acefylcholire release in brain synaptosames." NeuroRoport. 8・9-10. 2203-2207 (1997)