Research Abstract |
マニュファクチャリング・エクセレンスの原理と応用に関して研究を行い,以下の結果を得た. (1)現今の生産体制は,大量生産・大量消費・大量廃棄のため,天然資源・エネルギーを枯渇させ,環境を汚染して,ひいては地球環境をひきおこすことにつながり,他方工場におけるモノ造りは,汚い・きつい・危険と若年層から敬遠され,永年の技能伝承も難しくなってきている.このような工業生産の閉塞状況から脱却して,モノ造りの秀麗性を求める原理として,"マニュファクチャリング・エクセレンス(manufacturing excellence)"を定義した. (2)現代生産-モノ造りの特徴として,ソフト化,情報化,サービス性(顧客満足化),国際規格化を考察した. (3)現代生産-モノ造りのジレンマとして,製品の短命(ライフ・サイクル)化,市場迎合化,薄利多売化,高度設備投資化,高賃金・高資源コスト化を挙げた. (4)これからの生産のあり方として,自動化生産,人間尊重生産,産業ネットワーク化,高付加価値生産,環境調和型(グリーン)生産,社会的適正生産("知足"の精神に基づくマニュファクチャリング・エクセレンス)を考究した. (5)例として,生産の基本的活動である,叩く(ハンマーで),削る(刃物で),組み立てる(工具を使って)の三要素をとりあげ,マニュファクチャリング・エクセレンスの今後のひとつの課題である,技能伝承と生産の自動化の両立という面から考察を行ない,生産の持つ本質的な意味に論究した.
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