1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08874060
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小中 重弘 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50000849)
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Keywords | ゼオライト表面 / 液晶 / 相互作用 |
Research Abstract |
ゼオライトを含む液晶に溶質分子を加え、NMRおよびUV(可視紫外分光)の測定を行った。液晶にゼオライトを混合し、約2時間後に溶質分子を加えてNMRスペクトルを測定した。多くの測定の結果、いくつかの新しい知見が得られた。一般にスペクトル線幅は広がるが、広がりかたは一様ではない。チオフエンやフランでスペクトルパターンが明らかに変化したが、これは配向度の変化で説明することができた。ところがメタノールの場合にはメチル基に帰属されるスペクトル線は殆ど変化しないが、水酸基に由来するスペクトル線は著しく太くなった。そして直接結合定数の値からメチルプロトンと水酸基プロトンの間隔が約6%も増加していることが見い出された。 以上の事実から液晶とゼオライト表面との間には吸着に似た弱い相互作用が働き、ゼオライト外部表面を液晶構成分子が覆い、その界面で溶質分子の濃度が高くなっている可能性が考えられる。スペクトル変化が顕著な場合には、溶質分子とゼオライト表面との相互作用も大きく、特にメタノールの場合にはゼオライト表面とメタノールの水酸基との間に化学吸着に似た相互作用が働いていることが示唆される。UV測定では液晶とゼオライトを混ぜると近赤外領域の吸光度が増加し、時間経過とともに吸光度は減少する。これを利用すれば液晶中のゼオライトの粒径を制御することができる。また吸光度(全散乱強度)の波長依存性(濁度スペクトル)を測定しているうちに、レイリー散乱とは反対に全散乱強度が波長とともに増加するという興味深い結果が得られた。現在、その現象について理論的考察を進めている。
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