1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08875020
|
Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
山崎 秀樹 福岡工業大学, 工学部, 教授 (00182486)
|
Keywords | 確率共鳴 / 結合共鳴子 / カオス / 雑音誘起秩序 |
Research Abstract |
本年度は当初の目的に従って以下の実験的研究を行ない,結合確率共鳴子系における雑音誘起秩序の存在とその発生機構と確率共鳴との関わりを明らかにした. 実験にはトンネルダイオード,周期信号,白色雑音信号を用いた確率共鳴子2個を可変抵抗を介して結合させた電気回路を用いた.コンピュータシミュレーションによって示されたように,カオス状態にある系に外部雑音を印加すると秩序化が生じる場合があるが,実在系での存在は明らかでなかった.我々は結合確率共鳴子系において,雑音を印加しない状態では,ある条件で結合振動子系と同様にカオスが生じ,この状態で雑音を加えると秩序化即ち雑音誘起秩序が生じるものと予測した.そこでまず雑音を印加しない状態で確率共鳴子間の結合強度とそれぞれに印加する周期信号の周波数比とを変化させ相図を決定した.その結果,無振動,周期,準周期,カオス状態が出現することが分かった. 次にカオス状態が出現するように条件設定を行い雑音を加えると,雑音強度が増すにつれて出力波形の乱れが小さくなり,ある値で秩序化し,更に増すと再び乱れた状態になった.この様子を定量的に調べるために,最大リアプノフ数を求めると,秩序化が生じたところは負の値であったが,それ以外は正であった.また,出力信号のパワースペクトルから雑音信号比(SN比)を求めると,秩序化が生じた雑音電圧値でSN比が最大となり,単一の確率共鳴子の場合と同様なSN比曲線となった.以上から,結合確率共鳴子においては,雑音誘起秩序が存在し,その発生機構として確率共鳴が深く関わっていることが分かった.
|
Research Products
(1 results)