1997 Fiscal Year Annual Research Report
電気泳動による帯電微粒子群の高速往復運動を利用した精密加工法の研究
Project/Area Number |
08875027
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
国枝 正典 東京農工大学, 工学部, 助教授 (90178012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 政弘 東京農工大学, 工学部, 教務職員 (80220680)
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Keywords | 電気泳動 / 砥粒加工 / 精密加工 / 微粒子 / ダイヤモンド砥粒 / シリコンウェハ / 放電加工 |
Research Abstract |
本研究は,平行平板電極間で高速往復運動を繰り返す微粒子の運動エネルギーを利用して,電極としての工作物を除去加工する試みである. まず,平行平板電極間に静電界が印加されている場合に,導電体の単一粒子の電極面に垂直な直線上の電気泳動現象を解析した.最初に数値計算により極間の軸対称な電位分布と粒子表面の電荷密度分布を求めた.次に,粒子に作用する静電力を求め,粘性や重量を考慮した上で絶縁体で満たされた極間中での運動方程式から微小時間ステップ後の粒子位置を求めた.以上を各微小時間ステップ毎に繰り返すことによって,粒子の運動をシミュレーションした.このとき,粒子が電極と接触している場合は粒子の電位が既知であるとした.また,粒子が電極から離れる時は,接触したときの帯電量が保たれたまま運動することから,帯電量を既知として解析を行った.その結果,直径30umの鋼球が,電位差100V,感激120umの極間中を一秒間に役1600回往復することが分かった. 次に,実際の加工時と同様に極間に複数の粒子が存在する場合の挙動を解析した.この場合は電位が3次元的な分布となるため,3次元の静電界解析を行った.しかし,簡単のため粒子は2個だけ存在する場合を考え,電極に垂直な一平面上の2粒子の運動について解析した.その結果,弾性衝突を仮定しただけでは二つの粒子が付着することはないが,分子間力や衝突時の放電による電荷交換により溶着する影響を考慮すると,粒子が柱状化して極間を短絡する現象が説明できることを示した.以上の単一粒子や二つの粒子の電気泳動は高速度ビデオカメラにより観察され,解析結果と良い一致が見られることが分かった. 最後に,実際に工作物を兼ねた平行平板電極間に鋼球などの粒子群を入れ,砥粒加工が行えることを示した.また,シリコンなどの硬脆材料の加工の場合は,ダイヤモンド砥粒を混入することにより間接的に鋼球の運動エネルギーをダイヤモンド砥粒に与えることによって,加工が可能なことを明らかにした.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Kunieda, K.Yanatori: "Study on Debris Movement in EDM Gap" IJEM. No.2. 43-49 (1997)
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[Publications] 松山昇平、国枝正典: "電気泳動による帯電粒子群の往復運動を利用した砥粒加工の試み" 1997年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集. 639-640 (1997)
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[Publications] 石田尚志、国枝正典: "放電加工の極間における複数微粒子の柱状化現象の解析" 電気加工学会全国大会(1997)講演論文集. 89-92 (1997)