1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08875053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 仁彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20159073)
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Keywords | 移動ロボット / カオス / 非線形力学 / 行動生成 / 脳型情報処理 / 非ホロノミック |
Research Abstract |
単純な機械が多様な運動を示すための方法論を研究することを目的とし,その足掛かりとして,移動ロボットにカオスを生じる非線形力学構造を導入しカオスの応用を試みる研究を行なった.カオス的な運動を行なう移動ロボット,行動生成までのセンサ情報処理へのカオスの導入,という2つの問題に関して研究を行なった. 1.移動ロボットの設計・試作 2輪独立駆動の移動ロボットの設計・試作を行なった.ロボットにはセンサとして近接センサ,接触センサ,パン/チルトカメラ,駆動用DCモータのエンコーダを搭載した. 2.移動ロボットのカオス運動 カオス的な運動を行なうカオティック移動ロボットは,カオスの特徴の一つである位相推移性により,環境の地図や経路計画を用いずに環境全体を移動することができる.Arnold方程式を組み込み,移動ロボットにカオス的な運動を発現させる方法を提案し,実験によりロボットがカオス的な運動によって閉空間全体を動き回ることができることを確認した.また,擬似乱数を用いたランダムウォークとの比較を行ないカオスの優位性に関して考察を行なった. 3.センサ情報処理へのカオスの導入 生物の脳・神経系においてカオス現象が見られることに着目し,センサ情報をもとに反射行動を重ね合わせて行動生成を行なう移動ロボットの情報処理系の中にカオス力学系を導入することにより,ロボットの知能を発現させる試みを行なった.カオスニューロンを用いてセンサ情報をニューロンの周期状態やカオス状態の形にコーディングし,ニューロンの出力や内部状態を行動の重ね合わせに用いる新たなセンサ信号とすることでロボットの行動を状況に応じて変化させ,記憶のような機能を実現することを試みた.カオス力学系がロボットの行動に及ぼす影響を実験を通した観察により考察した.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 関口暁宣, 中村仁彦: "カオティック移動ロボット" 第14回日本ロボット学会学術講演会予稿集. 145-146 (1996)
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[Publications] 中村仁彦, 関口暁宣: "カオティック移動ロボット" 日本ロボット学会誌. Vol.15,No.6. 918-926 (1997)
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[Publications] 関口暁宣, 中村仁彦: "カオス的情報処理による移動ロボットの知能の発現" ロボティクス・メカトロニクス講演会'98. (発表予定).