1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08875187
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Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
成田 正 埼玉工業大学, 工学部, 教授 (10011066)
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Keywords | α-フルオロメチル置換スチレン / α-トリフルオロメチルスチレン / α-ジフルオロメチルスチレン / p-メチル-α-トリフルオロメチルスチレン / アニオン重合 / ラジカル重合 / オリゴマー |
Research Abstract |
含フッ素ビニル化合物の重合反応性研究の一環としてラジカル重合しないとされているα-フルオロメチルスチレン誘導体のα-トリフルオロメチルスチレン(TFS)およびα-ジフルオロメチルスチレン(DFS)を取り上げた。TFSについては、未だポリマーが生成する重合反応は見いだされていない。ここではTFSおよびDFSを合成し、フルオロメチル基の高い電子吸引性に着目してアニオン重合を試み、TFSおよびDFSが反応する条件を見いだすことを目的とした。また、これらの化合物のラジカル反応についても系統的な検討は行なわれておらず、反応性は未知であるため、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどを用いるラジカル反応についても検討した。 TFSはフェニルマグネシウムブロミドと1,1,1-トリフルオロアセトンとの反応により生成するカルビノールの脱水により合成した。沸点:48-49℃/20mmHg。またDFSは、ジフルオロ酢酸クロリドとベンゼンとのFriedel-Crafts反応により得られるジフルオロアセトフェノンのWittig反応により得た。沸点76℃/20mmHg。 TFSのアニオン開始剤(n-C_3H_9Li、LiZnC_3H_9(C_2H_5)_2、LiAlC_4H_9(C_2H_5)_3、Al(C_2H_5)_3、Zn(C_2H_5)_2)およびZiegler-Natta触媒(TiCl_3/Al(C_2H_5)_3、VCl_3/Al(C_2H_5)_3、VO(CH_3COCHCOCH_3)_2/Al(C_2H_5)_3)を用い、様々な温度で反応させたが、重合体は得られなかった。しかしTiCL_3/Al(C_2H_5)_3を開始剤に用いた場合、反応停止後、エバポレーターにて溶媒を除去し残留物を凍結乾燥しGPCにより分子量を測定した結果、微量ではあるが2-3量体のオリゴマーが認められた。一方、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を開始剤とするラジカル重合を試みたが、メタノール不溶性のポリマーは得られなかった。そこで反応性を変化させるためにパラ位にメチル基を導入した化合物を合成し、そのラジカル重合を検討した結果、AIBNの添加量を増加させて反応を行なった場合には、分子量が約1800のオリゴマーも生成していることを見いだした。またDFMSの反応をAIBNを用いて検討した結果、メタノール可溶部から低分子量の化合物が得られた。この化合物についてGC-MSを測定した結果、DFMSにシアノメチルエチル基が付加した化合物が得られていることが分かった。 以上の結果よりα-トリフルオロメチル置換スチレンは重合しにくいモノマーではあるが、反応条件により低収率ながらオリゴマーを生成することが判明した。
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