1997 Fiscal Year Annual Research Report
植物由来の「がん抑制遺伝子ホモログ」の動物細胞における遺伝子発現系の確立
Project/Area Number |
08876001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高柳 謙治 筑波大学, 農林学系, 教授 (20251019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 徹 筑波大学, 農林学系, 講師 (10272155)
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Keywords | 酵母 / ツ-ハイブリッド / バキュロウイルス / 昆虫培養細胞 / QM / ナス / リン酸化 / 転写調節因子 |
Research Abstract |
我々はディファレンシャル・ディスプレイ法を用いてナスの不定胚誘導時に特異的に発現する遺伝子を同定する過程で、ヒトのウイルムス腫瘍抑制遺伝子(QM)のホモログを単離した。構造上の特徴から転写調節因子の一つではないかと推定されたが、ナスのQMタンパクの機能をより詳細に解析するために、植物細胞以外の系、すなわち酵母ならびに昆虫の培養細胞の系を用いた機能的発現を試みた。ヒトのQMはオンコジーンのJunと相互作用をすることが報告されているが、ナスのQMがJunと相互作用をするか否かを検討するために酵母のツ-ハイブリッド系を用いた解析を行った。ラットのjun遺伝子を組み込んだプラスミドとナスのQM遺伝子を組み込んだプラスミドを酵母へ同時に形質転換を行った。もし、ラットのJunとナスのQMが相互作用をするならば、GAL4の遺伝子が機能的に回復し、ガラクトースを含まない培地でも形質転換した酵母は生育できる。しかしながら、p53とSV40のT抗原の組合せの対照実験では予想通りであったが、ラットのjunとナスのQMの組合せでは生育しなかった。このことは、ナスのQMはヒトのQMとは構造的には類似しているが、機能的には異なることを示している。また、ナスのQMの大量発現を試みるために、昆虫細胞に感染するバキュロウイルスの系を適用した。ナスQMのcDNAを導入した組換えバキュロウイルスを作製し、昆虫培養細胞内で発現させた。感染後3日目に培養中に放射性無機リン酸を添加して5時間の標識した細胞から組換え型QMを精製し、SDSポリアクリルアミドゲルで解析した結果、QMはリン酸化していることが明らかとなった。
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