1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08877058
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
犬童 道治 国立がんセンター研究所, ウイルス部, 研究員 (10281685)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / エンベローブ蛋白質 / 抗体 |
Research Abstract |
申請書は、C型肝炎ウイルス(HCV)のレセプターの同定とワクチン開発を目的として、まず最初にレセプター検索のリガンドとなるHCV E2(エンベロープ)蛋白質を大量に発現する系を確立することを試みた。野生型のHCVのE2蛋白質に複合型の糖鎖が付加されていることは既に確認されている。発現させるE2蛋白質に、同様の糖鎖構造が付加されることを期待して、哺乳動物細胞であるCHO細胞に、HCVのE2遺伝子を導入した。その結果、E2蛋白質が大量に発現され、そしてその大部分は細胞外に分泌された。このE2蛋白質は、HCV抗体陽性患者の血清38例中37例に対して良好な反応性を示した。また、CHO細胞によって培養液中に分泌されたE2蛋白質も野生型のHCV E2蛋白質と同様に複合型の糖鎖が付加されていることが確認できた。これらのことは、CHO細胞で発現させたHCV E2蛋白質が野生型のHCV E2蛋白質とほぼ同様の特性を持つことを意味しており、レセプター検索のためのリガンドとして十分利用可能であると考えられた(Inudoh et al,1996,Vaccine)。現在、本来の目的であるHCV E2蛋白質と結合するレセプターの検索を試みている。細胞培養液中に分泌されたE2蛋白質をリガンドとして使用するため、まずその精製を行った。そして、アフィニテイクロマトグラフィなどの方法により純度約50%の部分精製標品を得ることができた。これを使用して、レセプターの検索を試みている。また、このE2蛋白質を免疫原にしてE2蛋白質に対する抗体産生をラットに試み、3種類の抗体を得ることができた。今後この抗体が、E2蛋白質がレセプターに結合することを阻害するかどうかの検索に必要になるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)