1997 Fiscal Year Annual Research Report
微小血管閉塞による新しい進行性腎不全モデルの確立と尿細管間質病変の解析
Project/Area Number |
08877180
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
木村 正人 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (20135247)
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Keywords | 腎不全 / マイクロスフェア- / 尿細管障害 / 腎間質障害 / 線維化 / コラーゲン |
Research Abstract |
昨年の本研究において、microphere(MS)注入により、用量依存的に進行する慢性腎不全のモデルを確立した。大量の蛋白尿が腎機能の低下に先行し、組織学的にはヒト末期腎不全の組織像に類似した散在性のネフロンの脱落が認められた。今回はこのモデルを用い、(1)ablation modelの代表例である5/6腎摘モデルとの比較および、(2)尿細管間質病変の解析を行った。 1)5/6腎摘除との比較 MSモデルでは尿細管基底膜様物質の蓄積を伴う「萎縮」尿細管、尿細管の拡張・肥大、円柱形成および間質の線維化が経時的に出現し、時相による変化が明らかである。一方、5/6腎摘モデルでは8週目までは組織の変化は軽いが、12週目になり急速に組織の荒廃が進み、上記の間質組織病変の全てが混在し同時に進行する。もう一つの相違点は、高血圧の頻度と程度に差があることであり、5/6腎摘モデルで高度の血圧上昇を認めた。 2)尿細管間質病変(萎縮・拡張尿細管、円柱)の解析 免疫組織学的検討では萎縮尿細管の周囲の線維化は主にIV型コラーゲンの蓄積により生じ、I型コラーゲンの関与はわずかであった。また、萎縮・拡張尿細管のいずれもエリスロポエチン受容体の発現を認め、その由来は遠位尿細管であることを強く示唆する。PDGFはほとんど染色されず、in situ hybridizationなどによる遺伝子レベルでの検討が必要である。
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