1997 Fiscal Year Annual Research Report
静脈バイパスの内膜肥厚における接着分子発現の解明と遺伝子導入に関する研究
Project/Area Number |
08877221
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮本 享 京都大学, 医学研究科, 助手 (70239440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 泉 国立循環器病センター, 脳神経外科, 部長 (10198327)
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Keywords | 静脈バイパス / 再狭窄 / 転写調節 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
【目的】脳神経外科領域におけ頭蓋外血行再建(バイパス)術にみられる再狭窄、閉塞においてリン脂質リゾフォスファチジルコリン(lyso-PC)により惹起される血管内皮細胞の機能の変化が、病巣の発生進展に重要な役割を担うものと考えられる。我々はlyso-PCによる転写制御機構を解明した。 【方法・結果】培養ウシ大動脈内皮細胞は10%FBS添加DMEMにて培養し、lyso-PCにて刺激した。Jun、Fos遺伝子群の発現はノーザンブロット法にて、c-Jun蛋白の発現はウェスターンブロット法にて検討した。標識AP-1コンセンサス配列およびJun2TRE配列を持つオリゴヌクレオチド「CN」と抽出核蛋白を用いてgel shift assayを施行。Lyso-PC(無血清培地中15μM)刺激によりJun、Fos遺伝子群の発現は用量および時間依存性に誘導され、この発現はActinomycinDにて完全に抑制、更に半減期の延長は認めなかった。c-Jun蛋白は2時間をピークとし時間依存性に発現し、0.5-1時間ではリン酸化によるバンドシフトを認め、これはリン酸化阻害剤により消失した。gel shift assayではAP-1およびJun2TREのONへの結合増加が認められ過剰の非標識ONを加えることによりバンドは消失した。更にAP-1ではc-Junおよびjun-Dの、またJun2TREではCREB抗体により上方への移動(supershift)が認められた。 【総括】Lyso-PCは培養血管内皮細胞においてJun、Fos遺伝子群の発現を誘導し、更に従来重要とされたAP-1の上流に位置するJun2TREがその転写調節に強く関与する可能性が考えられた。今後はJun2TRE遺伝子のin vivoバイパス再狭窄モデルへの応用を計画している。
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