1996 Fiscal Year Annual Research Report
生体試料中の微量含有薬物や生体成分の分析を目的とした簡便な室温りん光法の開発
Project/Area Number |
08877322
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
北出 達也 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (10161481)
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Keywords | 室温りん光法 / ポリビニルアルコール / 臨床分析 / 生体成分 / セロトニン / 血中濃度 / 高感度分析 |
Research Abstract |
試料溶媒として使用していた蒸留水中の不純物に起因するりん光測定のバックグラウンドは超純水を使用することにより定量分析に支障がない強度まで減弱することができた。重合度およびけん化度が異なるポリビニルアルコール(PVA)を素材とした基質の特性について検討したところ、購入状態のPVAにはバックグラウンドはないが、粉砕処理を施すことにより完全けん化型PVAでは無視できない、そして部分けん化型PVAでは微弱なバックグラウンドが生成された。しかし、これらのバックグラウンドは粉砕したPVAを水に溶解すれば消失した。また、りん光強度の経時的安定性は完全けん化型PVA基質より部分けん化型PVA基質の方が良好であった。PVA基質の紫外吸収スペクトルは完全けん化型PVAと部分けん化型PVAとで形は異なるが240nmより短波長領域に吸収があり励起光を吸収する恐れがある。しかし、実際にはこの領域に励起極大波長のある化学物質は少なく影響はないと考えられた。局所ホルモンの一種であるセロトニンの定量分析に本法を応用したところ、エンハンサーがなくてもりん光測定は可能であったが、ヨウ化カリウムとドデシル硫酸ナトリウムおよび1M-NaOHの添加により、りん光強度が飛躍的に増強された。生体試料中の微量含有薬物やその代謝物、また生体成分に対して全血を前処理することなく高感度分析するための前実験としてウシ血清アルブミン(BSA)含有緩衝液中の薬物の定量分析を試みた。その結果、基質表面で試料溶液中の比較的大きな分子や不溶成分を分離し、基質裏面付近まで浸透した化学物質を基質裏面より測定できるように改良した基質を用いればBSAの妨害を受けることなく薬物の高感度分析が可能であることがわかった。また、この基質を用いれば血清や全血中の薬物も前処理することなく高感度分析できることが確認され、本法が簡便な臨床分析法に応用可能であることがわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] TATSUYA KITADE: "Determination of some phenothiazine derivatives by room-temperature phosphorimetry on a poly (vinyl alcohol) substrate" Analytical Sciences. 12. 439-441 (1996)
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[Publications] TATSUYA KITADE: "Reproducibility improvement in the signal intensity of room-temperature phosphorimetry on a poly (vinyl alcohol) solid substrate" Bunseki Kagaku. 46. 201-205 (1997)