1997 Fiscal Year Annual Research Report
ストップトフローによる浮遊赤血球の高速形状変化の顕微観察
Project/Area Number |
08878111
|
Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
佐野 孝之 大分医科大学, 医学部, 教授 (90112169)
|
Keywords | ストップトフロー / 赤血球 / 形状変化 / 顕微観察 / 動的形状変化 |
Research Abstract |
我々は、これまで薬物添加による赤血球の形状変化について、特に陰イオン性の界面活性剤で、エキノサイト型誘起物質であるアルキル硫酸ナトリウムと赤血球との相互作用について、結合等温曲線測定をはじめ、顕微鏡観察、光散乱あるいは吸光度(濁度)測定を行い、各種物理量と赤血球の形状変化との相関を調べてきた。その結果、界面活性剤の赤血球膜への結合は大きく分けてバンド3を代表とする膜蛋白質への疎水的結合と隣脂質部分への協同的結合の2種類に分類できる事を明らかにし、さらに光散乱あるいは吸光度変化は赤血球の形状変化を反映し、形状変化の直積的検出法として利用できることを明らかにし、形状変化の動的研究の道を開いた。この成果に基づいて濁度および散乱光検出ストップトフロー法を利用し、各種アルキル硫酸ナトリウムによる赤血球のエキノサイト化への動的過程の観測をした。その結果、生理条件では赤血球は薬物との混合後、0.1秒から20〜30分の間に少なくとも4つの過程を経て最終的なエキノサイト型に至る事を明らかにし、形状変化動的モデルを提唱した。この結果は形状変化の高速顕微鏡観察に当たっての重要な指針をあたえる大きな成果であり、論文として発表した。この成果をふまえて、本申請課題の最終年度での完遂を目指して顕微鏡観察の動的実験を展開している。
|
Research Products
(1 results)