1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08878118
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
八木 健 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (10241241)
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Keywords | 脳の進化 / DBA / 2 / 情動 / エタノール / Fyn / カドヘリン |
Research Abstract |
我々は、1)脳の進化を考える際に重要な視点となる情動に関わる神経回路形成とFynとの関連、2)シナプス形成過程及びシナプス機能発現とFynの関連、を解明する目的で、シナプス後膜でFynと結合している分子についての解析を行った。 マウス系統による学習能力、情動性、薬理学的感受性の差が報告されている。C57/BL/6とDBA/2マウスを比較したところDBA/2においては空間学習能力の低下、情動行動の異常、高頻度聴覚刺激による聴覚性痙攣発作の亢進、アルコールやカフェインなどに対する反応性の違いが報告されている。我々の解析を行っているFyn欠損マウスはC57BL/6の遺伝的背景を持つものであるが、この行動異常が、C57BL/6に対するDBA/2マウスの異常の傾向と一致している。我々は脳神経細胞の膜分画よりFyn結合分子に対する抗体を作製した。その結果、Fynと結合するp130に対する抗体がC57BL/6とDBA/2マウス間で分子量の異なるタンパク質を認識した。この分子は、マウス脳神経で特異的な発現をしており、シナプス形成にともない発現量が多くなることより、Fynとシナプス形成過程で機能する分子であることが想定される。また、我々は、別にFynと結合する新たなカドヘリン関連受容体(CNR)ファミリーの単離に成功した。この分子は多様性に富む分子であり少なくともマウス脳において20種類の分子種が発現していた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Taniguchi M.et al: "Efficient production of Cre-mediated site-directed recombinants throuth the utilization of the puromicin resistance gene,pac : a transient gene-integration marker for ES cells." Nucleic Acids Res. 26. 679-680 (1998)
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[Publications] Kitazawa,H.et al: "Abnormal synaptic transmission in the olfactory bulb of Fyn-kinase deficient mice." J.Neurophysiol.79・1. 137-142 (1998)
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[Publications] Taniguchi,M.et al: "Disruption of semaphorin III/D gene causes severe abnormality in peripheral nerve projection." Neuron. 19. 519-530 (1997)
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[Publications] Kai,N.et al: "Molecular cloning of Fyn-associated molecules in the mouce central nervous system." J.Neuroscience Res.48. 407-424 (1997)
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[Publications] Miyakawa,T.et al: "Fyn-kinase as a determinant of ethanol sencitvity : Relation to NMDA-receptor function." Sience. 278. 698-701 (1997)
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[Publications] 八木健: "脳の進化をもたらした遺伝子の探索-情動形成に関わる分子メカニズムによる研究-" 細胞工学. 16. 1140-1149 (1997)