1997 Fiscal Year Annual Research Report
ボルボックスを用いた多細胞体制構築機構の分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
08878135
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白石 英秋 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (90202118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 丹 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40114855)
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Keywords | ボルボックス / 体細胞 / 生殖細胞 / ミトコンドリア / プロテインキナーゼ |
Research Abstract |
ボルボックスで分子遺伝学的な研究を行うためには、遺伝的掛け合わせを再現性良く行えることが必須である。遺伝的掛け合わせの系を確立するために、テキサス大学で系統保存されているVolvox carterif.nagariensisの雄株と雌株を取り寄せ、遺伝的掛け合わせを試みた。しかし、現在のところ、再現性良く掛け合わせを行うことには成功していない。掛け合わせの試みを継続しつつ、今年度は、他生物の遺伝子の相同遺伝子を解析することが中心となった。 ボルボックスは、個体の周縁部に球状に配列した体細胞と、個体内に存在する生殖細胞の二種類の細胞だけから成る多細胞生物である。この二種類の細胞のうち、生殖細胞の形成は個体へのUV照射によって抑制されることが知られている。一方、昆虫の場合も同様に、UV照射によって生殖細胞の形成が抑制されることが知られている。昆虫では、生殖系列の細胞の成立にミトコンドリアのrRNA(mtrRNA)が必須の役割を果たしており、UVが生殖顆粒内に局在するmtrRNAに障害を与えることが、UVによる生殖細胞の形成阻害の原因と考えられている。ボルボックスでも、生殖細胞の分化の際にmtrRNAの局在化など、昆虫と同様の現象がみられるかどうかを調べるため、その準備として、mtrRNA遺伝子のクローニングと塩基配列の決定を行った。また、昨年度単離したプロテインキナーゼcDNAのうち、ショウジョウバエのzest-white3と高い相同性を持つものについて、発現の特異性を調べた結果、二種類の細胞のうち、体細胞で特に強く発現していることが明らかになった。
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