1996 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯魚の皮膚に縞をつくるメカニズム(反応拡散波)の分子的実体を遺伝子学的手法で解明する
Project/Area Number |
08878136
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 滋 京都大学, 医学研究科, 講師 (10252503)
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Keywords | チューリング / 反応拡散波 / パターンフォーメーション / ゼブラフィッシュ / シミュレーション / ストライプ |
Research Abstract |
現在魚で遺伝学的解析を行えるのはゼブラフィッシュだけであるが、都合の良いことにゼブラフィッシュは(固定した)ストライプ模様をもつ。ドイツとアメリカで行われた組織的な突然変異体の生成実験により、異なった模様を持つ変異株が数10種分離されており、これらが反応拡散波の証明に利用できる。 コンピューターで計算された二次元の反応拡散波は、パラメーター(反応の定数)のわずかな違いで異なった模様を作る。またその逆にパターンの変化から、パラメーターの値を推定することが可能である。 まずパターンの違いから、各々の変異株についてのパラメーターの値を推定する。つぎに、変異体を掛け合わせ、2重変異個体を作りその模様を調べる。もし、ゼブラフィッシュの模様が反応拡散波でできているなら、2重変異個体の模様はパラメーターの値から予測可能なはずである。もし、現実の模様と一致すれば、それは固定した模様を持つ動物の模様も、同じメカニズム(反応拡散波)で作られていることを強く示唆する証拠となるはずである。また、その遺伝子を単離できれば、反応拡散波を作り出すメカニズムの解明を行うことができる。 #1 現在までに、キンチャクダイ以外の3種について、反応拡散波と一致する変かを確認し、この反応が、魚類に一般的に存在するものである傍証を得た。 #2 ゼブラフィッシュの突然変異のうち、最低ひとつが変異の強度と、パターンの変化から、反応拡散波であることがほぼ明らかになった。
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Research Products
(2 results)