2008 Fiscal Year Annual Research Report
日・韓における植民地記録管理体系の比較と記録の共有方案
Project/Area Number |
08F08004
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
高埜 利彦 Gakushuin University, 文学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIN Kyung Nam 学習院大学, 文学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 東アジア近代史 / アーカイブス学 / 比較学 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
研究は、概して三つの分野で行った。第一に、既存の研究成果を調査・分類・学習した。第二に、韓国と日本で朝鮮総督府記録を所蔵している主要機関(韓国の国家記録院、国史編纂委員会、高麗大学、馬山市日本の国立公文書館、国会図書館、学習院大学、山口県文書館)を訪問して、所蔵量・保存処理手続き・管理システム・公開及び活用状況などについて調査した。第三に、朝鮮総督府官報の調査、総督府の各部局に対する政策・予算・人事など決栽ラインの調査、原本出所と所蔵先の調査を記録学的観点から行った。 その結果、朝鮮総督府記録の完結構造、朝鮮総督府記録の範囲、激動期における記録の流出・分散・廃棄の問題点を明確に認識することになった。また、本研究は朝鮮総督府記録の特殊性を認識した上、その記録を共有するために、解決の方策として「一体型植民地記録共有システム」を提案して研究を行っている。1年間の調査と研究を通して、このようなシステムが必要だということをより認識するようになった。 具体的にいえば、朝鮮総督府記録は一国史的次元ではなく、韓国に所蔵されている朝鮮総督府記録群を中心にして、日本に所蔵されている朝鮮総督府関連記録を総合的に認識・把握しなければならないということが明らかになった。ひいては戦前・戦後の激動の歴史状況で韓国・日本はもちろん、アメリカなどに分散する運命となった朝鮮総督府関連記録の特殊性を理解することとなった。したがって、朝鮮総督府記録群の記録共有システムは韓国と日本のみならず世界的なレベルでの研究領域に拡張される必要性があると考える。 このような1年間の研究成果をもとにして、2年目は、朝鮮総督府記録の管理システムを記録史料管理学的観点から比較・分析して、記録を共有するために、システムをどのように構成するかについての研究を本格的に進行しようと考える。「一体型植民地記録共有システム」の構築のためには、各機関の記録共有の認識を求めることが必要だろう。そして、全体的な見通しを持って、国際的な次元での整理・目録記述の標準化を目指してコンテンツを創ることができると考える。
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Research Products
(4 results)