2008 Fiscal Year Annual Research Report
1930年代後半におけるイギリス外交への日本の対応
Project/Area Number |
08F08009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木畑 洋一 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIM Seung Young 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 国際関係論 / 国際関係史 / 外交史 / 日本近代史 / 宥和政策 |
Research Abstract |
Kim博士が2008年9月に来日して以来の半年間、木畑とKim博士は、まず1930年代の日本外交についての検討を行った。その際、当該研究テーマに関わる3人の外相-幣原喜重郎、広田弘毅、松岡洋右-に関する比較検討に重点が置かれた。その結果得られた当面の結論-伝統的ヨーロッパ外交の方法に拠りつつ列強との友好関係の中で満洲や中国における日本の権益を追求した幣原外交、右翼と軍部の支持を受けてより強硬な外交を展開しつつも伝統的外交手法を用いることが多かった広田外交、ポピュリスト的性格を帯びた手法のもとで独ソとのユーラシア同盟を目論んだ松岡外交-は、今後の研究の出発点となるものである。これらの外相については、特に近年日本でも後述する服部龍二博士などにより飛躍的に研究が進んできているが、研究申請書に記したように、Kim博士がこれまで蓄積してきた国際政治に関する理論的枠組みを十分に用いながら、比較研究を改めて行ったところに、本研究の新たな意味がある。とりわけ、国内における圧力が高まっている状況下での外交政策決定という内政と外交の関係をめぐる理論へのインプリケーションは大きいものがある。来日後の期間が短いため、この検討結果はまだ公表されていないが、Kim博士が2009年中には雑誌論文もしくは本の一章の形で発表する予定である。Kim博士はこの間、幣原研究や広田研究で日本の外交史研究を牽引している中央大学の服部龍二博士と緊密な連絡をとってきた他、東京大学人文社会研究科の加藤陽子博士などとも活発な意見交換を行ってきた。
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Research Products
(1 results)