2008 Fiscal Year Annual Research Report
資産価格の高騰銀行貸出の変化と金融政策:中国と日本の比較研究
Project/Area Number |
08F08012
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉野 直行 Keio University, 経済学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KONG Danfeng 慶應義塾大学, 経済学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 資産価額 / 銀行貸出 / 金融政策 / 中国:日本 |
Research Abstract |
世界金融危機を背景に、中国の資産価格(特に中国株価)は2007年10月をピークに、2008年10月には70%以上も下落した。本研究課題は日本と中国のバブルの違いについて、理論的・実証的に比較分析することである。日本のバブルは、国内の低金利政策によってもたらされたが、中国の不動産価格の高騰は、国内銀行のよる不動産関連貸出の増加と海外からの不動産分野への資金流人があると言われている。同時に、都市では、人口成長によって新たな住宅需要が生まれており、不動産への実需があったため、不動産価格は上昇した。しかし、世界的な金融危機の影響により、輸出の減少が所得の伸びを抑え、住宅需要も激減し、資産価格の下落を招いたと想定される。さらに、中国では、銀行貸出しは滞っておらず、銀行の不良債権は、あまり増えていないと言われており、実証的なデータによる分析は不可欠である。今年度の研究成果は次のとおりである。 日本バブル経済の発生メカニズム、資産価額と銀行貸出と金融政策の関係を分析し、中国への政策提言を研究。(2).金融政策枠組みの基礎理論を研究し、為替レート・ターゲティング、マネタリー・ターゲティング、インフレーション・ターゲティングのそれそれの特徴を分析した上に、中国金融政策の有効性を高める案を提示した。(3)VEC(Vector Error Correction Model)モデルを用い、中国のマネタリー・ターゲティングに基づき、ベース・マネーとM2の関係、M2とGDPの関係という二つの面から、金融政策の地域的な波及の非対称性(29省)を検証し、その原因をも究明したい。(4).吉野直行の従前の日本資金の流れに関する研究を参考にしながら、家計部門の金融資産選択行動、企業部門の資金調達行動、金融機関の金融資産管理行動を理論的、実証的に分析し、資金フローの変化要因の分析を始めている。
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Research Products
(4 results)