2008 Fiscal Year Annual Research Report
体積保存条件付き放物型および双曲型偏微分方程式の数理解析
Project/Area Number |
08F08017
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小俣 正朗 Kanazawa University, 数物科学系, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SVADLENKA Karel 金沢大学, 数物科学系, 外国人特別研究員
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Keywords | 偏微分方程式 / 自由境界 / 積分拘束条件 / 数値計算 / 変分原理 |
Research Abstract |
これまで、体積保存条件付き発展問題を代表する平面上の水滴の挙動という現象のモデル方程式 u_1=Δu-γχ_1'(u)+χ_<u>0>λ を中心に研究を進めてきた。ここで、χは特性関数、χ_1はその平滑化、λは体積の拘束に由来する非局所的な項であり、複雑な非局所的な項をもつ放物型自由境界問題になっている。この問題に対し、一意のヘルダー連続な弱解の存在を示し、結果をまとめた論文はIndiana University Mathematics Journalにアクセプトされている。証明では、正則化した問題に対し離散勾配流法という時間を離散する変分法を用いて解の存在と一様な評価を得た上で正則化パラメータの極限をとり、もとの問題の解を構成する。Subdifferentialを使った手法と異なって、数値計算で直接応用できる構成となっており、水滴の運動を数値実験でも再現できた。 現在は、上記の方程式で平滑化をなくした問題u_1=Δu-γχ_<u>0>'(u)+χ_<u>0>λに取り組んでいる。この場合、非局所的な特徴のため粘性解の理論の応用が難しいと思われる。そこで、二つのアプローチを同時に進めている:幾何学的測度論を用いた手法(ここで、平滑化された問題に対しHarnack不等式と比較原理を使って一様のLipschitz評価を導き、自由境界を含む解の性質が得られると期待される。)Г-収束性を用いた手法(ここで、generalized minimizing movementが構成できると思われる。) 計画書で言及されている他の応用について述べる。津波の場合は、専門家の意見でKybernetikaで提案された解法では不十分であるという指摘が出ているので、流体の運動を計算しない表面だけの十分正確なモデルを目指して、上式に似たモデルをさらに精査する予定である。一方、心臓や血管の中の血流などの膜と流体の連成解析が数値計算の方面で研究室の規模で行われ、進歩を見せている。
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Research Products
(4 results)