2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮野 健次郎 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHENG Zhigao 東京大学, 先端科学技術研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | マルチフェロイック薄膜 / YMnO3 / 光二次高調波発生 |
Research Abstract |
典型的なマルチフェロイック材料であるYMnO3の薄膜を作製し、その強誘電性を膜厚の関数として調べることを目的として研究を行った。2~10格子数の極薄膜をYSZ基板上に作製し、その極性を非線形光学効果を用いて調べた。 薄膜の構造はX線回折とSTEMにより、c軸が基板に垂直に配向したコヒーレント・エピタキシャル膜であること、さらに面内格子定数が引き伸ばされているにも拘らず、面直方向にも格子定数が伸びた特異な変形をしていることが確認された。光二次高調波発生法を用いて偏光解析、位相解析を詳細に行った。これによって、膜厚が6格子数までは非常に強い面内分極が見出された。これはバルク結晶の対称性とは相いれないものであり、結晶歪みによって対称性が低下したために発生したものであると考えられる。全体として膜の対称性はtrigonalであり、また、3種類の等価なドメインから成ることが分かった。この面内分極成分は膜厚が増えるに従って減少し、同時にバルクの分極方向である面直方向の分極が成長した。これは、基板に拘束された構造からバルクへの遷移が6~8層程度の膜厚で発生することを示している。 強誘電性を調べるため室温において電場を印加したところ、電歪に相当する極性成分の応答があった。これも、バルク結晶で知られている応答とは異なる。現在、これに加えて磁場に対する応答を温度の関数として検討しているところであるが、10K程度の低温でも大きな対称性の変化は見られない一方、強度が変化することから局所的な歪みの増減が磁場によって誘起されているものと思われる。
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Research Products
(3 results)