2008 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理計算によるナノ磁性体の超微細構造定数に関する理論研究
Project/Area Number |
08F08028
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川添 良幸 Tohoku University, 金属材料研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BAHRAMY Mohammad Ssaeed 東北大学, 金属材料研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | Magnetism / Hyperfine structure / Ab initio / Si Fullerene / Graphene |
Research Abstract |
独自開発の超微細構造計算プログラムを用いて遷移金属M=Cr,Mn,Feを内包したSi16H16の磁性と超微細構造を求めた。全ての系で内包されている状態にある金属原子は孤立系と同じ磁気モーメントを持っており、それは主に金属原子に局在し、わずかにSi16H16にも分布していた。孤立系の金属原子と比較すると等方的な超微細構造パラメーターA_isoは大きく異なっていた。CrはSi16H16と弱い相互作用を持っているが、Mn,Feは強い混成が見られた。SOMOを起源とする核スピン偏極の傾向の解析から、CrではA_isoの減少がSOMOの金属原子核への寄与が小さくなることに起因し、一方、Mn,Feでは3sと価電子帯のRMへの寄与がSOHOからのスピン偏極よりも相対的に小さくなるため、Aisoの絶対値が大きくなることが分かった。本研究ではさらに水素原子をドープしたグラフェンシートの電子構造、磁気構造を計算対象にした。この系に関して、L.Hornekaerらは楕円形と星形のSTM像を報告している(Phys.Rev.Lett.96,156104(2006))。この像はグラフェンシート上に数個の水素原子がある特定の配置に並んでいるためと思われるが、詳細は不明であった。グラフェンシートの第一原理STM像計算から、それぞれの形状は水素原子が2個、3個吸着したものに由来していることが明らかになった。さらに、表面の構造変化により3量体とある2量体は表面上に大きな磁気モーメントを持つことが分かった。同時にグラフェンシートの電子構造は大きく変化し、小さいバイアス電圧でフェルミ準位に大きなスピン分極を持つことが示唆された。この研究はグラフェンライクな系において水素誘起磁性研究の発展に寄与する。
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Research Products
(4 results)