2008 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体内包の2層カーボンナノチューブの創製、評価と応用
Project/Area Number |
08F08030
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
篠原 久典 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHIMOU Chen 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 二層カーボンナノチューブ / イオン液化 / ピーポッド / 透過型電子顕微鏡 / ラーマン分光 |
Research Abstract |
平成20年度は、世界に先駆けて単層カーボンナノチューブの中へイオン液体(zinc-containing quaternary ammonium based ionic liquid:ChZnCl_3)を内包させることに成功した。高分解能透過型電子顕微鏡を用いた詳細な観察によって、単層カーボンナノチューブ内部に内包された、これらのイオン液体の構造は、単一チェイン構造、二重らせん構造、ジグザグチューブ構造およびランダムチューブ構造の各構造を持つことが分かった。さらに、電子線の影響によって、カーボンナノチューブ内部のイオン液体が「ナノ流体」と呼ばれる状態に相転移することも、初めて観測された。電子線オリジンの相転移は熱による相転移と比較された。その結果、イオン液体からナノ流体への相転移は、電子線誘起の場合にのみ起きることが分かった。イオン液体からナノ流体への相転移の初期段階は、内包されたイオン液体ChZnCl_3が表面から融解することから始まる。また、この相転移にはヒステリシスが観測された。 本研究以前は、イオン液体は多層のカーボンナノチューブのみに内包されていた。しかし、カーボンナノチューブ内部のイオン液体の詳細な構造情報を得るのは、単層カーボンナノチューブが望ましい。本研究の成功は、単層カーボンナノチューブにイオン液体を内包出来たことが、最も大きな要因である。
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