2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08033
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
喜多村 昇 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BRYLEV Konstantin 北海道大学, 大学院・理学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | レニウム六核クラスター / 結晶構造 / 発光特性 / 配位子置換反応 / 固体発光 / W(II)クラスター |
Research Abstract |
ターミナル配位子として蟻酸を有するレニウム(III)六核クラスター錯体、K_4[Re_8S_8(HCOO)_6]およびCs_4[Re_6S_8(HCOO)_6]、の合成に世界で初めて成功するとともに、蟻酸配位子はキャップ配位子である硫黄原子に対してmono-dentateで酸素配位することをX線構造解析およびFT-1R測定から明らかにした。特に、蟻酸がbridge型のbi-dentateとしてでは無く,mono-dentate配位子として配位する珍しい例であることを示した。また、本クラスター錯体は水中において速やかに配位子置換反応を起こし、水和錯体を与えることをNMRスペクトルの経時変化から明らかにした。さらに、本クラスター錯体は室温の水中および固体において発光することを見い出した。室温、水中のK_4[Re_8S_8(HCOO)_6]の場合、発光極大波長は672nmであり、発光収率、発光寿命は各々0.028、0.30〜1.3μs(2成分)であった。発光減衰が1成分では無く2成分となるのは、上述の水和反応が関与しているものと考えられる。また、固体においては655nmに発光の極大波長を示し、絶対発光収率は0.091であることを示した。レニウム(III)六核クラスター錯体の固体における絶対発光収率を決定した例は本研究が初めてである。更に、タングステン六核クラスター([W_6Cl_<14>]^<2->)の合成行うとともに、その発光特性の4.2Kから室温にわたる温度依存性測定を行った。現在、その理論解析を行っている段階である。
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