2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08040
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
芥川 智行 Hokkaido University, 電子科学研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YE Qiong 北海道大学, 電子科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 強誘電体 / 分子磁性体 / 遷移金属錯体 / キラル配位子 / マルチフェロイック / 超分子 |
Research Abstract |
金属錯体を用いた新規強誘電体の開拓に関し、昨年度に引き続き以下の2項目について、検討を進めた。 1.磁性金属錯体[Ni(dmit)_2]を用いた誘電体の開拓 [Ni(dmit)_2]のカウンターカチオンとして、種々の超分子を導入し、常誘電性、強誘電性の探求を進めた。1,4-置換のシルロヘキサンジアンモニウムのcisおよびtrans体を基本骨格とするキラルなシクロヘキサンジアンモニウム誘導体等を合成し、新たに結晶中に導入した。これら多数の結晶について結晶構造を精査すると共に、磁性ならびに誘電性を評価した。シクロヘキサンジアンモニウムが示す、イス型-船型のコンフォメーション変化など、分子の柔軟性に注目し、誘電体の開拓を進めた。特に有望なけいについて、誘電性の異方性の起源であるアンモニウム誘導体の結晶内での運動を評価するために、ポテンシャル曲線の計算を行い、低周波数領域での誘電応答と比較した。 2.Cu錯体を利用した、新規ローター型強誘電体の開拓 C4対称軸を持つCu錯体の配位子として、C3対称軸を持つアダマンタン誘導体を導入し、さらに軸配位子としてDABCO等を導入することで新たな分子集合系を構築した。この物質系は結晶内で、C4軸回りの回転、C3軸回りの回転および軸配位子のC4軸回りの回転と、多様な回転モードを持つため、強誘電体開拓に有望な系である。さらに、アダマンタン誘導体にフッ素基を置換して、ポーラーな部位を導入した。現在、X線構造解析、NMR測定、磁性測定、誘電率測定を実施しており、新たな強誘電結晶の作製を目指している。
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Research Products
(2 results)