2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境適合型非イオン性界面活性剤ミセル溶液の粘弾性に関する研究
Project/Area Number |
08F08042
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
阿部 正彦 Tokyo University of Science, 理工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHARMA Suraj Chandra 東京理科大学, 理工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 粘弾性 / 非イオン性界面活性剤 / ひも状ミセル / 相挙動 |
Research Abstract |
ひも状ミセルは低分子量の界面活性剤が離合集散を動的に繰り返すソフトマテリアルであり,その溶液は通常の高分子溶液とは全く異なる粘弾性挙動を示す。医薬品や化粧品など,人体に接触する分野における製品基材としてひも状ミセルを利用する場合,その有害性や刺激性への配慮が必要であり,環境中に放出される工業用途においては,その生分解性にも配慮しなければならない。本研究課題では,環境適合型の非イオン性界面活性剤による混合ミセル水溶液を調製し,その相挙動,粘弾性挙動,ならびに形成されるミセルの微視的な構造解析を行ってきた。 今年度は昨年度までに得られた成果を拡張し,水中でひも状ミセルを形成する環境適合型非イオン性界面活性剤の混合系に焦点をあてた。具体的には,ポリオキシエチレン長鎖を有するフィトステロール系界面活性剤(PhyEO30)とモノグリセリド(モノラウリンMLあるいはモノパルミチンMP)の混合水溶液系を取り扱った。PhyEO30の10%水溶液にMLやMPは常温では溶解しないが,系の温度を高めることでそれらの溶解度は高まった。このとき,モノグリセリドの含有量が高い場合において,粘弾性溶液が得られることを見出した。 また,ポリオキシエチレンフィトステロール(PhyEO10)とポリオキシエチレンコレステロール(ChEO10)の混合系にテトラエチレングリコールモノドデシルエーテル(C12EO4)を添加した水溶液についても,その粘弾性挙動を解析した。この系については,C12EO4が添加されることで1次元方向にミセルの成長が進行し,ひも状ミセルの絡み合いに起因する粘弾性液体の形成を見出した。このような基礎的知見は,「環境にやさしい」化粧品基材の調合に際し有益となることが期待される。
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