2008 Fiscal Year Annual Research Report
環境適合型非イオン界面活性剤ミセル溶液の粘弾性に関する研究
Project/Area Number |
08F08042
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
阿部 正彦 Tokyo University of Science, 理工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHARMA Suraj Chandra 東京理科大学, 理工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 粘弾性 / 非イオン界面活性剤 / ひも状ミセル / 相挙動 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は環境適合型の非イオン界面活性剤混合系により「ひも状ミセル」水溶液を形成し、その粘弾性挙動を解析することである。本研究から得られる知見は、ひも状ミセルを人体や環境への負荷が配慮される分野(医薬品、化粧品、食品など)で製品基材として利用する場合に有用となることが予想される。 ポリオキシェチレンフィトステロールは天然由来の物質であり、人体や環境への負荷が抑えられた環境適合型の非イオン界面活性剤である。このような観点から、本研究課題では上記界面活性剤とポリオキシエチレンドデシルエーテルの混合系によるひも状ミセル水溶液の形成およびその粘弾性挙動を解析した。その結果、混合系水溶液の粘性は劇的に上昇し、極めて長いひも状ミセルが形成されていることが示唆された。ここで得られたひも状ミセルは水溶液中でネットワーク構造を構築し、低いずり速度においてマクスウェルモデルで解釈される粘弾性挙動を示した。 ポリオキシェチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween 80)とモノラウリン(ML)の混合水溶液についても、その相状態と粘弾性挙動を解析した。Tween 80は等方的なミセル水溶液を広い濃度範囲にわたって形成する。ここにMLが混合されると、その粘性は急激に上昇し、低いずり速度においてマクスウェルモデルに従う典型的なひも状ミセル水溶液が得られた。さらにMLの濃度が増加すると、その粘性は減少傾向に転じ、相分離が確認された。また、Tween 80の濃度が増加するほど、ミセルが成長し始まるMLの濃度はわずかながら低下していった。このようなミセル成長は、MLの添加によってTween 80の有効面積が減少させられることに基づくと考えられる。
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Research Products
(5 results)