2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08044
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
荒牧 賢治 Yokohama National University, 大学院・環境情報研究院, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHRESTHA Lok Kumar 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 外国人客員研究員
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Keywords | 逆ミセル / ポリグリセリン脂肪酸エステル / 小角X線散乱法 / 一般化非直接フーリエ変換法 / 分子集合体 / 非水溶媒 / 相挙動 / 非イオン界面活性剤 |
Research Abstract |
水系あるいは極性溶媒系におけるミセルの研究は数多く行われているが、有機溶媒系での逆ミセルについての研究は少ない。イオン性界面活性剤の場合、水の存在がないとイオン性基が解離できないこと、また、ポリオキシエチレン型の非イオン界面活性剤の場合、ポリオキシエチレン鎖は多くの有機溶媒に可溶であることなどにより有機溶剤系においては両親媒性を発揮しない界面活性剤が多い。そのため、多くの界面活性剤や脂質は単独では有機溶媒系における界面吸着や分子集合体形成をしにくい。この問題を解決するために水素結合力が非常に強く、有機溶媒中でも自己集合しやすい多価アルコール型の非イオン脂質・界面活性剤(グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル)を用いた。これにより各種炭化水素中において逆ミセルの形成を行なうことができた。逆ミセル構造の解析には炭化水素コア部と溶媒の電子密度差が大きいことを利用し、小角X線散乱によるその場・非破壊解析を行った。小角散乱法(中性子・X線)で通常良く用いられている解析法は観察対象の構造モデルから得られる形状因子関数を実際の測定散乱曲線にフィッティングすることによりミセル半径やコアシェル構造のサイズを得るが、この方法では単純化された構造モデルが実際のミセルふさわしいかどうか検証できない。そこで同氏は近年開発された一般化非直接フーリエ変換(Generalized Indirect Fourier Transform,GIFT)法を逆ミセル構造解析に導入し、モデルフリーに実際の逆ミセルサイズを求めることに成功した。この成果により逆ミセルが脂質・界面活性剤のわずかな分子構造の違いにより球状のみならず板状、棒状という多彩なモルフォロジーを形成することを明らかにした。
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