Research Abstract |
シリコンをTetra Methyl Ammonium Hydroxide (TMAH)水溶液でエッチングするさいに添加された微量の界面活性剤が,エッチング特性,特に,エッチングの異方性を変えてしまう現象について研究した.H19年度までに当該研究室では,界面活性剤添加によるエッチレートの結晶方位依存性の変化を把握してきた.本テーマの第1年目である平成20年度の研究では,界面活性剤(Triton X100)がシリコンの特定の結晶方位に吸着してエッチングを妨げる結果,エッチング異方性が激変するという事実を実験的に明らかにした.これに続く平成21年度は,結晶面方位によって界面活性剤が選択的に吸着する現象を,エリプソメトリ法によって定量的に評価し,上記のエッチング異方性変化のメカニズムを確認した. これと並行してMEMS加工技術への応用を研究し,TMAH水溶液によるウェットプロセスだけで多様な3次元構造体を形成する新しいプロセスを提案・実証した.TMAH水溶液に界面活性剤を加えた場合と,加えない場合で大きく異なるエッチング特性を使い分け,それぞれ異なるマスクパターンにしたがって,異なる特性のエッチングを実施することで,従来,加工できなかった形状の微細構造を実現した,異なる領域を分割して保護するマスキング法として,2種類のマスク材料(シリコン窒化膜とシリコン酸化膜)を使い分けたLOCOS (Local Oxidization of Silicon)プロセスを導入し,これと特性の違うエッチングを組み合わせたプロセスを特許出願した. 以上の平成21年度の成果は,学術会議論文7件,学術雑誌論文8件,図書1件,特許出願1件,として公表済み,あるいは掲載決定している.
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