2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08060
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高松 洋 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHAO Gang 九州大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 凍結保存 / 血管内皮細胞 / 凍結損傷 / 生存率 / モデリング / 脱水収縮 / 細胞内凍結 / 水透過率 |
Research Abstract |
現在でも臓器の凍結保存の成功例がない主な原因の一つは,臓器内の血管系の凍結耐性が弱く,臓器の実質細胞が凍結解凍に耐えたとしても血管の内皮細胞が損傷を受け,やがては虚血状態に陥ることにある.したがって,血管の内皮細胞の凍結保存は臓器保存にとって最も重要な課題の一つである.そこで,本研究では,血管内皮細胞の最適凍結条件を求めるために,凍結過程のモデルを構築することを目的とする. 本年度は,まず,ウシ大動脈血管内皮細胞を試料として,研究代表者らが開発した溶液灌流顕微鏡を用いて凍結過程における最も重要なパラメータである細胞膜の水透過率の測定を行うとともに,その温度依存性から活性化エネルギーを求めた. 次に,細胞の凍結過程で生じる要素過程を組み込んだモデルを構築した.具体的には,温度の低下に伴う細胞外氷晶の成長と細胞外溶液の濃度上昇,細胞内外に生じる浸透圧差に起因した水透過による細胞の体積変化,および細胞内の過冷に伴う細胞内での均質および不均質核生成,のすべてをモデル化した.従来のモデルとのおもな相違点は,細胞内外の溶液を理想溶液ではなく実際の溶液として取り扱う点,および細胞内での氷晶形成量を考慮した点である.このモデルを用いて,凍害防御剤の添加濃度と冷却速度の様々な組み合わせに対して最終温度での細胞内氷晶形成量を予測した.そして,これが無視しうるほど小さく細胞に損傷を与えない条件を探索して,最適凍結条件を求めた.
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Research Products
(1 results)