2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08060
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高松 洋 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHAO Gang 九州大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 凍結保存 / 血管内皮細胞 / 凍結損傷 / 生存率 / モデリング / 脱水収縮 / 細胞内凍結 / 水透過率 |
Research Abstract |
現在でも臓器の凍結保存の成功例がない主な原因の一つは,臓器内の血管系の凍結耐性が弱く,臓器の実質細胞が凍結解凍に耐えたとしても血管の内皮細胞が損傷を受け,やがては虚血状態に陥ることにある.したがって,血管の内皮細胞の凍結保存は臓器保存のブレークスルーの第一歩となり得る.そこで,本研究では,血管内皮細胞の凍結損傷の評価を行って損傷メカニズムを明らかにするとともに,血管内皮のような単層培養状態の細胞の凍結過程に有効なモデルを構築することを目的とする.本年度は,(1)凍結解凍後の細胞の生存率の予測を行うための解析モデルの構築,(2)細胞の凍結解凍実験の準備,および(3)試料として用いる血管内皮細胞のスクリーニング,を行った. (1)に関しては,凍結過程での細胞外電解質溶液の濃縮に伴う浸透圧変化に起因する細胞の脱水収縮,および温度低下と細胞内電解質濃度上昇の遅れに伴う過冷却に起因する細胞内凍結,の両方を考慮した凍結モデルについて,従来提案されているモデルで不十分な点を改良した新しいモデルの開発を行った.(2)は(1)のモデル解析を行うために必要な細胞膜の水透過率を測定するためのものであり,水透過率を温度の関数として求める必要がある.そこで,低温顕微鏡を用いた凍結の予備実験をPC-3細胞を試料として行い,凍結過程での細胞の体積変化測定が可能かどうかの確認を行った.(3)については,数種類の血管内皮細胞の継代培養を行って,増殖率や形態変化の有無についての確認を行い,実験試料として使用可能な細胞のスクリーニングを継続中である.
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