2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸性鉱山廃水処理のためのヨシ起源重金属吸着剤を活用した人工湿地法の開発
Project/Area Number |
08F08074
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西村 修 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SOUTHICHAK Bounheng 東北大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 人工湿地 / ヨシ / ワカメ / 亜鉛 / 炭素源 / バイオマス / 鉱山廃水 / 硫酸還元 |
Research Abstract |
本研究では人工鉱山廃水中に含まれる亜鉛を除去することを目的として,植物由来の重金属吸着剤と硫黄還元細菌を活用した砂ろ過装置の複合システムを用いた室内実験を行った。本システムでは植物由来重金属吸着剤から溶出する有機炭素を,砂ろ過装置に生息する硫黄還元細菌の炭素源として活用することで効果的な重金属の除去を目指した。 植物由来吸着剤の材料としてヨシ(200g)とワカメ(200g)を選定し,それぞれ単独でカラムに装填した。このカラム内を通水させた人工鉱山廃水を,硫黄還元細菌が増殖している砂ろ過装置に流入させた。実験条件として廃水(亜鉛:10ppm,酸化硫黄:50ppm)を75日間に渡って連続的に260L/m^2/dの流入速度で供給した。水質の測定項目は亜鉛濃度,pH,酸化還元電位,水温とし,発生した硫化水素ガス濃度も併せて測定した。 ヨシ吸着剤を装填したカラム単体では亜鉛除去率は62-90%であったが,砂ろ過装置と併用することによって82-98%と除去率が向上した。またワカメ吸着剤を使用した場合においても同様に,74-95%から82-99%と除去率の改善が見られた。砂ろ過装置の流入前後で廃水のpHの値は常に高くなった。またヨシ吸着剤を用いた系における処理水ではORPの値が実験開始後3週間後以降正の値を記録し続けたのに対して,ワカメ吸着剤を利用した系では実験期間中負の値を記録し続けた。このことはワカメ由来の有機物がヨシと比較して硫黄還元細菌にとって利用しやすい有機物であることを示している。 この結果から植物由来吸着剤が重金属吸着効果のみならず硫黄還元細菌に炭素源を供給するという機能も有していることが明らかとなり,砂ろ過装置と併用することで高い除去率を実現可能であることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)