2009 Fiscal Year Annual Research Report
酸性鉱山廃水処理のためのヨシ起源重金属吸着剤を活用した人工湿地法の開発
Project/Area Number |
08F08074
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西村 修 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BOUNHENG SOUTHICHAK 東北大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 生物吸着 / 海藻 / 亜鉛 / 硫酸還元菌 / 砂ろ過 |
Research Abstract |
亜鉛は、植物や動物にとって必須の微量元素であるものの、感受性の高い水生生物は低濃度でも悪影響を受けるため、適正な排水処理が必要である。本研究では海藻をパッキングしたカラムと砂ろ過カラムを組み合わせて亜鉛を除去する2段プロセスを構築し、バイオソルベントとして、および硫酸還元菌の炭素源としての海藻の相乗的な効果を調べた。 海藻をパッキングしたカラムによる亜鉛の除去率は74~95%で、砂ろ過カラムを通過した後には82~99%に上昇した。75日間ブレークスルーせず、安定的な亜鉛の除去率を保った。 亜鉛で飽和した海藻カラムに対して硫化水素イオンを脱着剤に用いて溶出実験を行った。最初の10min(30mL)で急速な亜鉛濃度の増加を示し、10~30min(60mL)で濃度は低下しフラットになった。これは添加したHS^-溶液がバイオマスに吸着飽和している金属の置換を効果的に行っていることを示唆する。すなわち、海藻カラムにおけるバクテリアによるHS^-の生産は、亜鉛との相互作用が可能であり、硫化亜鉛の形で、亜鉛を再生させることがわかった。 海藻カラムで除去された亜鉛の形態としてはアモルファス型結合フラクションが最も多く、ついで結晶酸化物、硫化物であった。一方、砂ろ過カラムの底層から抽出した亜鉛の量は海藻カラムのそれより大きく、有機成分が最も多く、ついで硫化物,炭酸塩の順であった。これは亜鉛と結合した海藻デトリタスが海藻カラムから砂ろ過カラムの底層へ移動したことを示唆する。 また、海藻バイオマスの2つの機能、バイオソルベントとしての亜鉛の吸着および硫酸還元菌の炭素源供給によって、99%以上の高い亜鉛除去率がもたらされ、最終濃度は0.7-0.01mg/Lに低下させることができた。そして、本実験期間(75日間)で吸着平衡は見られず、生物学的に発生した硫化水素イオンとバイオソルベントに結合した亜鉛の置換により除去が行われているためと考えられた。
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Research Products
(3 results)