2008 Fiscal Year Annual Research Report
『三国史記』「屋舎」条の分析による統一新羅時代の都市住宅に関する研究
Project/Area Number |
08F08075
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 恵介 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 [ジョン]美 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 統一新羅時代 / 王京 / 住宅 / 三国史記 / 屋舎 / 家作規制 / 室長広 / 東アジア |
Research Abstract |
1.「室長広」の解釈 (1)文献史料分析による「室長広」の解釈 -『三国史記』、『三国遺事』の分析を行い、その中で当時の建築や住宅関連用語の用例と、建物の規模の表現方を分析。 -「室」の意味:一棟の建物として、内部空間が分割されてない単一空間の建物。 -「長広」の意味:「長」と「広」とは、それぞれ建物の正面と側面の規模の意味。 -「室長広」の規制:住宅の中心建物(室)の正面と側面の両方の長さを同時に規制すること。 (2)発掘遺構の検討 -新羅王京遺跡で発掘された一坊の遺構:「屋舎」の家作規制が施行された時期と一致する住宅遺構が多数存在。 -上記の住宅跡の中で、敷地の中で規模が最も大きく、中心的な位置を占めている建物跡の多くが正方形の平面を持っており、また内部空間の分割なない一空間の建物であったとみられる。 -この正方形の建物跡、「屋舎」条における「室長広」の「室」に当たり、「屋舎」という家作規制はこのような当時の実情に基づいて作られたものであって、住宅における中心建物(室)の規模を、同一長さの正面(長)と側面(広)で制限したと考えられる。 -また、正方形の建物跡は、当時の中国や日本には類例が殆ど見当たらないため、東アジアにおける新羅の住宅が持つ固有性の問題にも係わると考えられる。 2.8-9世紀における日・中・韓の家作規制令の比較分析 -日・中・韓の三国の家作規制関係の法令(営繕令)の比較分析することは、8-9世紀の東アジア各国の住宅における普遍的な要素と各国の固有性を見出すことに有効な手掛りとなる。 -唐令の内容は、時間と共に変化していたが、日本の場合(養老令)は、唐令の変化の流れと関係なく独自性を維持していた。 -統一新羅の「屋舎」の内容は、篇目の内容と記述方式が太和1年(827)の唐会要と一致ししており、唐令の変遷は持続的に新羅へ影響を及ぼしていたと考えられる。
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Research Products
(2 results)