2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜の動的構造変化とタンパク質相互作用に関する研究
Project/Area Number |
08F08082
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高木 昌宏 Japan Advanced Institute of Science and Technology, マテリアルサイエンス研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VESTERGAARD C. M. 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | リポソーム / アミロイド / ブラウン運動 / 流体力学半径 / ダイナミクス / 膜傷害 |
Research Abstract |
アミロイドβペプチドは、アルツハイマー病の原因となるアミロイド班の構成成分であり、病気の原因となる物質であるが、神経細胞毒性のメカニズムについては、未解明の部分が多い。このペプチドの凝集状態は、その重合度に応じて、モノマー、オリゴマー、プロトフィブリル、フィブリルと状態を変え、最近では、フィブリル(線維状態)よりも、オリゴマーや、プロトフィブリルの状態の方が、毒性が強いという報告がなされている。 我々は、個々の凝集体のブラウン運動より、凝集体の流体力学半径を算出する手法を考案し、異なるアミロイドペプチドの凝集状態の特性を明らかにした。 この手法により、個々の凝集体の特性をリアルタイムに観察することが可能であり、また凝集状態の変化や分布を解析する手法としても、適している。 さらに我々は、細胞サイズの巨大リポソームを用いて、アミロイドペプチドと脂質膜との相互作用について検討を加えている。アミロイドの毒性については、(1)膜傷害、(2)イオンチャネルとの相互作用、(3)特異的な膜受容体との相互作用、などが想定されているが、今回、タンパク質などを含まない単一のリン脂質成分からなるリポソームがアミロイドβペプチドと相互作用することを明らかにした。 また、相互作用に伴って、膜構造が揺動し、さらに様々な形態変化を引き起こすことを新たに見出し、膜傷害を起こす可能性が示唆された。 今後は、不飽和脂質、飽和脂質、コレステロールなど多成分系のリポソームを構築し、アミロイドβとの相互作用、そして相互作用に伴う膜構造の動的変化について、研究を続ける予定である。
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Research Products
(10 results)