2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規のチトクロームP450c17(ステロイド代謝酵素)の機能解析
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08F08088
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
長濱 嘉孝 National Institute for Basic Biology, 生殖生物学研究部門, 特任教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHOU Linyan 基礎生物学研究所, 生殖生物学研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | Cytochrome P450c17 / 17α-hydronxylase / 17,20 lyase / Steroidogenesis / Meiosis / Teleost fish / Gonad / Sex differentiation |
Research Abstract |
申請者はこれまで脊椎動物、特に哺乳類を対象とする研究者が長年競って研究してきたチトクロームP450c17が有する2つの酵素活性の制御機構について、魚類では17α-水酸化酵素活性とライエース活性とが2つの異なる酵素蛋白質によって調節さわていることをはじめて明らかにした(P450c17-I,-II)。本研究では、この2種のP450c17、特にP450c17-IIが卵成熟誘起ホルモンとして同定された17α、20β-DPの合成を介して果す機能(減数分裂開始の制御に関わる可能生)を明らかにすることを目的とする。まず本年度は、この2種のP450c17遺伝子が性分化期と減数分裂期開始期の雌雄生殖腺でどのような発現パターンを示すのかをin situ hybridizationとreal time PCR等によりさらに詳細に解析した。その結果、P450c17-Iは雌雄生殖腺に関係なく孵化後5日以降に発現がみられたが、P450c17-IIは雌雄生殖腺ともに最初の発現時期が生殖細胞の減数分裂の開始時期とほぼ一致した。従って、P450c17-IIは生殖細胞における減数分裂開始に重要な役割を果たしていることが示唆された。受精直後のXYメダカを17α、20β-DPを含む飼育水中で孵化後20日まで飼育して減数分裂開始のタイミングが早まるかを調べようとしたが、処理魚のほとんどが死んでしまった。現在さらに低濃度での実験を行っている。さらに本年度は、ステロイド代謝経路でP450c17の次のステップで働く2種のステロイド代謝酵素、即ちエストロゲンとアンドロゲンの合成に関わる17β-HSD、さらには17α,20β-DPの合成に関わる20β-HSD、両酵素遺伝子のクローニングも行った。その結果、前者については12種、また後者についてはこれまでに我々が報告しているタイプとは異なる新型を単離した。未だに、17α,20β-DPの合成に関わる20β-HSDは明確になっていないので、今後、この新規20β-HSDの機能を明らかにする必要がある。
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