2009 Fiscal Year Annual Research Report
Aegilops mutica細胞質を利用したパンコムギ雄性不稔及び稔性回復機構
Project/Area Number |
08F08093
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 千春 Kobe University, 農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PANAYOTOVA Galina 神戸大学, 農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 雄性不稔 / 稔性回復 / 核細胞質置換雑種 / パンコムギ / オオムギ / パンコムギ雑種 / ミトコンドリアゲノム / 葉緑体ゲノム / ヘテロプラズミー |
Research Abstract |
細胞質雄性不稔を利用した1代雑種が穀類の収量増加の有効な手段として生産現場で用いられているが、パンコムギでは、チモフィーピコムギ細胞質を利用した雑種育成法の他に有効な技術が未開発である。本研究では、Aegilops mutica由来の雄性不稔細胞質とこれに対する稔性回復遺伝子(Rf遺伝子)の相互作用を細胞質オルガネラ(ミトコンドリアと葉緑体)の応答から明らかにする。そのため、オルガネラマクロアレイやリアルタイムPCR等を用いたオルガネラバイオジェネシスを解析することで、Aegilops mutica細胞質によるパンコムギの雄性不稔および稔性回復機構を詳細に解析にする。平成21年度は、稔性回復遺伝子Rf(restoration of fertility)の標的となるオルガネラ遺伝子を探索・同定するため、以下の材料を用いて以下の研究を実施した。 実験材料 Aegilops mutica細胞質をもつパンコムギ雄性不稔系統3系統(ms lines ; A lines)、上記細胞質雄性不稔系統のパンコムギ維持系統3系統(maintainer lines ; B lines)、およびRf遺伝子を保有する雄性稔性回復系統2系統(R lines) 実験方法 ・オルガネラ(ミトコンドリアおよび葉緑体)マクロアレイを用いた葉緑体及びミトコンドリア遺伝子発現の網羅的解析により、Rf遺伝子の標的となるオルガネラ遺伝子を探索し、複数の候補遺伝子を同定した。 ・上記方法で探索した候補遺伝子について、その発現状況を、ノーザン分析およびリアルタイムPCRにより検証した。 ・同時に、稔性回復とヘテロプラズミー現象との関係を明らかにする目的で、オオムギを母親としパンコムギを反復花粉親とした雑種の後代から稔性程度で分類したグループについて、オルガネラ遺伝子の構造解析を行い、稔性の程度とヘテロプラズミーの程度に負の相関があることを明らかにした。
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