2009 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄諸島における熱帯植物を利用した持続的農業生産の確立
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08F08095
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
多和田 真吉 University of the Ryukyus, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TRAN Dang Khanh 国立大学法人琉球大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | ギンネム / ゲットウ / イヌビエ / サツマイモ / チガヤ / ベトナム / タチアワユキセンダングサ / アレロパシー |
Research Abstract |
2009年度の研究目的、成果及び意義について具体的に示す。 琉球大学においては過去20年間、熱帯植物中のアレロパシー物質の研究がおこなわれてきており、特にギンネム中のミモシンやゲットウ中のカワインなどが同定され、各種合成出発物質や化粧品の原材料などとして商品実用化が図られてきた。Khanh博士は既にいくつかのアレロパシー活性の高い熱帯植物を韓国の博士課程在学中に選抜していたので、これらの成分を核磁気共鳴法やマススペクトル解析により構造式を決定し、化学構造と活性の相関を調査することにした。ベトナム出身であるKhanh博士は熱帯植物中の生理活性物質と、特にイネの雑草防除に興味を持っており、群落を形成する植物はアレロパシー物質を含み他の雑草を制御できる可能性があることからイネの雑草防除に関する研究を行ってきた。現在までに数百の植物の中から、最も強い除草活性および抗菌活性をもつ種類をいくつか選択した。また、イネそのものに含まれる植物生長抑制物質を単離、同定し、抗菌活性を示すことも明らかにした。沖縄にも多くの群落を形成する植物や海外からの侵入植物が繁殖している。これらの植物中の生理活性物質を同定し、持続可能な農業生産を目的とする雑草、病害虫防除システムの構築を試みた。世界中の温暖な地域にはタチアワユキセンダングサが生育しているが非常に厄介な雑草である。国際誌のAllelopathy Journalにこの雑草の有用性に関する論文を掲載させた。また、Journal of Plant Interactionにイヌビエに関する論文を投稿した。イヌビエは世界で最も有害な雑草の一つであり、多くの作物に多大な被害をもたらす。イヌビエで茂った水田土壌からの水抽出物は、農作物や水田雑草の生長に対して植物毒性を示した。農作物のうち、イネの生長に対する植物毒性は最も高い抑制力を示すことを明らかにした。分取用カラムを使用し、イネビエが生育する土壌中に存在する植物毒性と潜在的に関係ありそうな18種類の化合物を同定した。この結果はWeed Biology and Managementに投稿され、2010年度の日本雑草学会において最高論文賞が授与された。Journal of Agricultural and Food Chemistryには雑草のチガヤとサツマイモの関係を論じた論文が掲載されている。沖縄は我が国唯一の亜熱帯地域に属し、東南アジアと環境が同じであることから、今後は日本の優れた農業生産システムの技術移転を検討し、Khanh博士がベトナムでの農業生産物の拡大に貢献することが期待される。
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Research Products
(3 results)