2010 Fiscal Year Annual Research Report
土壌中に存在する難溶性重金属の重金属超集積植物による溶解・吸収機構について
Project/Area Number |
08F08098
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤嶽 暢英 神戸大学, 農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MANI Rajkumar 神戸大学, 農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 稲 / ファイトレメディエーシン / 細胞壁 / 根滲出液 / ハイパーアキュミュレーター / キレート錯体 / カドミウム / 鉛 |
Research Abstract |
本年度は,これまでの研究成果から低レベル重金属汚染に対するファイトレメディエーション機能の高いことを確認した植物を用いて,それらのファイトエクストラクション能力と植物生育の関連性に着目して検討した。具体的には,重金属キレート剤と植物成長促進ホルモンの作用の相乗的効果を調べることで,植物の成長と植物による重金属可溶化効果の関連性を明らかにすることを試みた。 EDTAやクエン酸のようなキレート剤施用はトウモロコシとソルガムの地上部の生育量を減少させた。生長ホルモンの添加は生育量を増大させることで結果的に金属の吸い上げ量を増加させた。また,低濃度サリチル酸処理区はブラシノイドの処理区より効果が高かった。例えば,トウモロコシのEDTA区やクエン酸区でサリチル酸を噴霧したものは,噴霧しない場合に比べてEDTA区で24%,クエン酸区で97%も地上部の生育量が増加した。EDTAは重金属が根部から地上部へ移動するのをキレート剤として助ける働きをもつことが知られているが,この研究でカドミウム,銅,亜鉛についてはクエン酸よりも効果の高いことがわかった。またクエン酸施用は両植物の地上部組織への銅の集積を減少させた。トウモロコシでサリチル酸噴霧の場合,EDTA区で銅とカドミウムの地上部への集積量が増加し,これはサリチル酸とEDTAの相助効果によると考えられたが,ソルガムではこの効果は見られなかった。これらの結果は,植物ホルモンであるサリチル酸が重金属とキレート剤による植物生育阻害作用に対して低濃度で保護的役割をはたすことを示す。従って,植物を利用した環境修復における植物ホルモンの効果は無視できないものであることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)